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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
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り合いをしなければならないし、常に出世して立場を高めたがるもの。特に気位の高いトリステイン貴族はその度合いが強い。
「異国の王族と仲良くしているとその母国に取り入ろうとしていると思われちゃうの。滅亡間近の王族の味方をしてもメリットが大きくない。場合によっては出世の足を引っ張ることもありうるのよ」
見た目からして聡明さがうかがえるウェールズが王族としてのしがらみを理解していないわけがないが、理解したうえで砕けた口で言い合える相手を求めても迂闊に仲良くすることにも気をつけなくてはならないのだと言った。
「キュルケ、さすがに口が軽いんじゃないかい?」
「それをあなたに言われたくはないわね、ギーシュ。それに、愛する人が知りたいことなら包み隠さず教えるものじゃないかしら」
しかし、サイトにとっては到底理解し難い。この世界では平民に当たり、そもそも貴族政治なんてとっくの昔にほろんだ地球人であるサイトにとってどうでもいいものだ。皇太子が寧ろかわいそうじゃないか。そして、こんな辛い現実を作ってウェールズ太刀を苦しめるレコンキスタにも怒りを覚える。怪獣を戦争の道具に用いるなんて、とても許せる行為じゃない。生き物の命をどんな目で見てることか。
ウェールズは手紙を取出し、愛おしいように口付けし、開いてゆっくりと黙読する。
「これが例の手紙だ。このとおり確かに返却した」
「ありがとうございます」
ルイズは深々と頭を下げながら手紙を受け取った。その手紙は封筒もその中もすでにボロボロだった。
(何度も読まれたのね…)
同じ内容の手紙を飽きずに何度も読み漁っていたことは丸わかりだった。その事から、ルイズは手紙をしたためた時のアンリエッタの顔を思い出した。愛おしそうに手紙を抱き、自らの気持ちに嘘はつけないと始祖に打ち明けたときの彼女の顔…。ウェールズとアンリエッタの仲をこの時確信した。そのため、この手紙がウェールズにとって読まずにはいられないほどのものだったのだろうとルイズは察知した。
「明日の朝、民間人を乗せてイーグル号が出港する、それに乗って帰りなさい」
「あの、殿下。王軍に勝ち目はあるのですか?」
ルイズからそう尋ねられると、ウェールズは遠い目で窓の外を眺めて答えた。
「…今度の作戦がうまくいかなかったら、我が軍は確実に滅ぼされるだろう。次の戦いでも、きっとレコンキスタはグレンを警戒し、強力な怪獣を用いてここへと攻め入ってくる。決戦の場はサウスゴータ地方。情けないが、今の王軍はわずか5000。レコンキスタ共は10倍の五万。当然、王軍だけで立ち向かっては勝ち目がない」
「そんな…!!」
それでは、最早勝ち目がまるでないと言うようなものじゃないか。たまらずルイズはウェールズに言った。
「殿下、トリステインに亡命してくださいまし!それほどの劣勢では、いく
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