喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
[7/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
老貴族、パリーはウェールズからの知らせを聞いて大いに喜んでいた。そして視線を、皇太子と行動を共にした炎の空賊団の船長たちに移す。
「殿下をよくぞお守り成された」
「なに、協力している以上当然の事よ」
ルイズは握手しあうパリーとガルの姿を見て、彼ら炎の空賊たちが王党派たちから強い信頼を手にしていることを察知したと同時に、いくら義賊でも族であることに変わりない彼らがここまでウェールズをはじめとした空賊たちから信頼されていると言うことを意外なものとして受け止めざるを得なかった。自分がもし皇太子の立場だったら彼らのことをかたくなに拒んでいたかもしれない。
「さあ、大使殿。件の手紙はこちらだ。ついてきてくれ」
ウェールズはルイズたちを見てそそくさと歩きだし、ルイズ達は案内されるがまま、着いて行った。
ウェールズの部屋はニューカッスル城の一番高い天守の一角にあった。
内部は王子の部屋とは思えないほど質素であり、家具も木製の机と椅子、ベットしかない。壁には戦局を示すタペストリーが掛けられている。
ウェールズは机の引き出しから宝石の散りばめられた小箱を取り出した。蓋を開けると裏にアンリエッタの肖像画が描かれていた。
「俺もよくトリステインの姫さんの話をウェールズから聞いててさ、あれはあいつの宝物なんだ」
ルイズたちの横で、グレンが説明した。
「あんた、あの方は王族であるウェールズ殿下なのよ?礼節をわきまえなさいよ。っていうか、なんでここまでついてきたのよ!」
賊が礼儀を知りたがるかどうかなんて考えられないが、それでもこれはピシッとしなければならないと考えるルイズとしては、王子の部屋にまでついてきたグレンと空賊船長三兄弟に納得がいかない。しかし、ウェールズは微笑しながらルイズに言った。
「いいんだよ、ミス・ヴァリエール。僕は寧ろこうして呼び捨てにし合えるだけの仲の友が欲しかったくらいなんだ。何せ、王族と言うのは孤独な身なのが当然ともいえるからね」
「結構気さくな方なのね」
キュルケとしてもウェールズの空賊たちとの打ち解けようは意外だった。ウェールズは内心で王族ではない者の暮らしに憧れの感情があるのだと見た。ゲルマニア人である自分にも、成り上がりの国の人間の癖に…なんて言葉も言ってこないのだろうか。
「へえ…すごく気のいい人なんだ」
サイトはウェールズの人となりの一端を見て好印象を抱いたが、タバサそれを聞いて彼の袖を引っ張ってきた。
「だとしても、馴れ馴れしく話しかけない方がいい」
「どうして?本人がいいって言うなら別にいいんじゃないの」
「やれやれ…君は単純だな。とはいえ、平民の君にはわからないだろうね」
首を傾げるサイトに、今度はギーシュが呆れる、すると、キュルケがサイトにその理由を明かした。
貴族と言う者は常に腹の探
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ