喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
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うとするのは当然の事』と。だから彼らには、クロムウェル自身が聖地を狙う真意を見極めようともしないまま、ただ自分たちは神に愛されていると言う意識と全く同じ盲信を抱いている。
(地球といい、この星といい…人間とはつくづく愚かなものだ)
そしてクロムウェルも含め、彼らは気づいていなかった。自分たちはすでに、『支配』されている側にあったことを…。
(しかし、だからこそ…)
アルビオン王党派軍の現在の根拠地はニューカッスル城。大陸の真下には、アルビオン王族のみが知る秘密の港が存在している。現在のアルビオンの空を飛び回る怪獣や艦隊に見つからないよう、イーグル号は雲を潜り抜けながらその港へと入港した。
入港の際、信用に足るとされたサイトたちは武器を返却された。
「おお、デルフ!」
その手にデルフを手渡されたサイトは武器とはいえ、しっかりと意思を持った仲間が手元に帰ってきたことを喜んだ。
「いやー、相棒と引き裂かれて一時はどうなるかと思っちまったぜ。そういや相棒…」
サイトの元へ返されたデルフはため息を漏らすと同時に、今のサイトにとってあまり尋ねられたくないことを口にした。
「なんでゼロに変身しなかったんだ?」
ルイズたちにバレたらまずいと思い、サイトにしか聞こえない程度の小声でそう言った。それを聞いてサイトの表情が険しくなった。
「……いいだろ」
「いいいだろ…って、お前さんならみんなを助けるためなら、むしろ変身してもおかしくなかったんじゃねーの?」
まだ会って長い期間が経ったわけではないが、デルフはサイトの性格を大方理解しているつもりだ。彼は困った相手を見過ごせないお人よしだ。そんな男がもしウルトラの力を手にしているのだとしたら、それを用いて誰かを助けたがるものだと。だが、ベル星人に襲われた時、彼は変身しようとするそぶりさえなかった。それがデルフには不思議に思えてならなかったのだ。
「もうゼロに頼りたくない。それだけだよ」
秘密の港は、広く開いた洞窟だった。光るコケが生え、それが明かりの代わりとなって一帯を照らしている。
「こんな天然の隠れ家があるなんてね」
洞窟の壁を見渡しながらキュルケが呟いた。
「ああ、これならあのレコンキスタも簡単には見つけることなどできないだろうね」
ギーシュもこの秘密の隠れ港を見て簡単の声を漏らす。サイトもまた、この自然に出来上がったこの洞窟を興味深そうに眺め続けていた。
イーグル号から降りると、城に待機していたウェールズの側近たちが出迎えてきてくれた。
「パリー、喜べ!硫黄が手に入ったぞ」
サイトたちが搭乗した客船には硫黄が詰め込んであった。それを手に入れることは
「火の秘薬ではありませんか!これで我らは王家の誇りと名誉を叛徒共に示すこともできましょう!」
出迎えてきてくれた
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