喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
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紙を愛おしそうに眺めた後、慎重に封を開けた。その手紙の内容を読み終えると、彼は驚きに震えた。
「こ、これは真実なのか…!?姫が…あの愛らしいアンリエッタ、私の可愛い…従妹がゲルマニアの皇帝に…嫁ぐと…!?」
「そ、そうです。皇太子様」
その驚きは、きっと間違いであってほしいという本音が隠れている証かもしれない。ルイズは、ゲルマニア皇帝との望まぬ結婚をするアンリエッタと、そんな従妹を想うウェールズがかわいそうに思えた。
「王子、大丈夫かの?」
「あ、ああ…すまない。少し取り乱したようだ」
知らないままでいた方がよかったかもしれない事実を聞いて絶望さえ覚えた。そんなウェールズを見てグルが彼の顔色を窺うと、ウェールズは首を横に振って作り笑いを浮かべた。
「手紙は、我らの現在の本拠地にある。このまま大陸下を潜行し、城へ送ろう」
その頃…アルビオン王国のとある暗がりの下。
燭台の炎に照らされたその場所に、何人もの貴族たちが長いテーブルを囲う形で集まっていた。奥に座っているのは、かの貴族派=レコンキスタの長である男『オリバー・クロムウェル』である。
レコンキスタの目的はハルケギニアの統一と民主制の拡大。そしてエルフに奪われた、始祖ブリミル降臨の地『聖地』を取り戻すことである。人によっては、彼らもまた一つの正義を掲げていると言う見立てもできるだろう。だが、アンリエッタたちトリステイン貴族に炎の空賊たちやアルビオン王党派…彼らを支持する者にとってレコンキスタは、いたずらに戦を起こすただの簒奪者としか見られていない。
「現在の我が軍は、このアルビオンの首都『ロンディニウム』の占拠に成功。次はサウスゴータ攻略を予定しております。ですが…」
「王党派軍と結託している炎の空賊どものせいで予定より大幅に遅れが生じています。それどころか…これまであの炎の巨人によってこちらが使役する怪獣が返り討ちにあっています。前回はゴメスと…つい先日は閣下と手を結んでいたベル星人とやらが倒されました。兵たちもあの炎の巨人のせいで王党派に恐れをなし、士気が低下傾向にあります」
せっかくハルケギニア統一のための手始めにアルビオンを手に入れようとしていたのだが、彼らにとって炎の空賊団と、彼らに組する炎の用心棒グレンファイヤーは強敵であり、とても厄介な邪魔者でしかない。何とかこれを退ける手はないものかとこうして集まっていたのだ。
「無理もないか。クロムウェル閣下が始祖から授けられたお力で使役した怪獣が、こうもやられていくようではな」
「閣下は我らに味方してくれている宇宙人や怪獣を『お友達』とはおっしゃるが、いかんせん奴らは得体がしれない存在ですしな」
王党派との戦争で怪獣を用いたことで圧倒的な勝利を飾ったレコンキスタだが、一方で戦争に怪獣を使うと言うことに疑問を
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