喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
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だろう!」
意外にもウェールズはワルドたちの結婚式の媒酌の役を快く引き受けたではないか。
「ワルド、何言ってるの!私そんな…」
そんな気分にはなれそうにない。だから拒否しようと思った。しかし、ウェールズがルイズに向かってこう言ったのだ。
「ミス・ヴァリエール。どうかあなたとワルド子爵の門出を祝わせてほしい。もしかしたらこれが最期になるやもしれない。もしもとはいえ、最期になるかもしれないこの僕に、何かを残させてほしいのだ」
悪意がない分、余計にタチの悪い。ルイズはとてもグレンファイヤーのような強力な戦士が味方に付いている王軍でも、これまでトリステインを襲ってきた怪獣たちの脅威をこの目で見てきた。しかも敵は怪獣を操ることができると言う人知を超えているかもしれない存在。どんな手を使って勝ちを拾うつもりなのかはわからないが勝てる見込みが見えないのだ。でも、ウェールズからここまで頼まれてしまうと、断ることができなくなった。
ふと、ウェールズは机の上の水の張った盆を見た。盆には時計のように長短の二本の針が浮いていた。
「もうこんな時間か」
彼は机の上のベルを手に取ってそれを鳴らすと、この部屋に数人ほどの兵が入ってきた。
「今日はもう遅い。彼らに客室を用意させてほしい」
「はっ!」
その夜、ニューカッスル城では明日の戦いに備えた、気分高揚のための晩餐会が開かれた。国王ジェームズ一世は弱り切った腰を浮かせ、手に持ったワインを掲げた。
「皆の者、よくこの王に付き従ってくれた。
明日の戦にて、我々の運命が決まる。滅びるか。それとも生き残って戦い続けるか。きっとこれまでにない辛い戦いとなるだろう。
炎の空賊たちよ、自由を愛する戦友よ。叛徒どもに翻弄される我らのような惰弱な軍によく手を貸してくれた。わしはこれまで賊と言う存在を侮っていたが、これほど心強く勇敢な者たちと触れて、とても嬉しく思っている」
王党派の貴族たちは全員着飾り、炎の空賊たちのクルー、そしてサイトたち一行もしっかりと国王の話に耳を傾けていた。
「もし敗れることになったとしても、せめて栄誉ある敗北を描こう!だが最後まで決して諦めずに戦おう!我らにはあの叛徒どもと違い、真に始祖ブリミルのご加護がある!正義がある!誇りがある!明日の戦いに打ち勝ち、我らの誇りと名誉を示し、未来を勝ち取ろうではないか!」
国王が高らかに宣言し、ウェールズ皇太子や王党派の者達は手に持ったグラスを掲げた。
「「「「「「アルビオン王国万歳ーーーーー!!」」」」」
「タバサ、どうしたの?晩餐会には参加しないの?」
一方で、キュルケとタバサもまた晩餐会の席に出席していなかった。キュルケとしては、ワインを飲んで気分を変えて行こうかとも思ったが、以前フリッグの舞踏会に参加した時と違ってタバサが参加しない
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