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クピドの贈り物
1部分:第一章
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で恋を探していたのだ。
「きっとある筈だ」
 彼はそう言いながら辺りを見回す。
「出会いが」
 その出会いを探して地上を歩き回る。母の言葉を信じてあちらこちらを歩き回るうちにある牧場に辿り着いたのであった。
 そこで一輪の花を見つけた。それは小さな黄色い花であった。
「これは」
「ひなげしよ」
 前から女の子の声がした。
「そのお花はひなげしっていうの」
「そうなんだ」
 クピドはその言葉を聞いてあらためてその花を見た。
「この花が。小さな花だね」
「けれど奇麗な花でしょ」
「うん」
 その声に頷く。
「何て花なのかな」
「ひなぎくっていうの」
「ひなぎく!?」
「ええ。いい名前でしょ」
 ここで女の子が出て来た。見れば紫がかってすら見える奇麗な黒髪に白く透き通った肌、青い湖のような目に紅の唇と整った容姿の少女だった。彼の母親であるアフロディーテーにも比べられる程の美しさを持った少女であった。
「えっ・・・・・・」
 クピドは彼女の姿を見て思わず息を飲んだ。淡い色の服も実に似合っていた。
「君は」
「プシュケーっていうの」
 にこりと笑って澄んだ声で答えてきた。
「ここの牧場の娘だったの」
「そうだったんだ」
 クピドはそれを聞いて何故彼女がここにいるのかわかった。プシュケーはそんな彼にまた尋ねてきた。

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