魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇4
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―ジュエルシード、シリアル]\」
「――封印!」
二人の判断は迅速だった。即座に封印を開始する。フェイトはともかく、なのはにこれだけの反射神経があったとは驚きだ。やはりこの子も、あの一族の血を引いているという事なのだろう。喜ばしい事なのかどうなのかは分からないが。
ともあれ、二人のデバイスがジュエルシードを挟んで激突した。その瞬間――
「ッ!?」
解き放たれた膨大な魔力に背筋が凍った。これほどの魔力はこの器に宿ってから初めて感じる。しかも、最悪な事に誰もそれを制御できていない。ならば、次に起こるのは破滅的な暴走だ。野放しにすれば、最悪この街が地上から消えかねない。
「二人とも退け!」
叫ぶと同時、ジュエルシードが吼えた。解き放たれた魔力が、二人を軽々と滅茶苦茶な方向に吹き飛ばす。
「なのは!」
偶然だろうが――それでも、こちら側に飛んできたなのはを何とか受け止める。意識はないようだが、目に見えて分かる傷はない。呼吸も安定している。それ以上の事は分からないが……命に別条はないのは間違いあるまい。
「アルフ!」
叫ぶまでもなかった。アルフが同じようにフェイトを引っ掴み、地面へと着地する。だが、その間にもジュエルシードは破壊的な魔力を撒き散らし続けていた。周囲のアスファルトがひび割れ、めくれあがる。建築途中のビルは積み木のように崩れ落ち、そうではないビルも壁にひびが入りガラスが砕け散った。まったく、誰が張ったか分からないが、結界があってよかった。もっとも、このまま破れてしまえば、現実のものとなるわけだが。
そして、そうなるまで、もはや一刻の猶予もない。
「精霊よ!」
なのはを左手で抱えたまま、右手に生じた異形の心臓を地面へと叩きつける。それは、地面へと吸い込まれ――
「―――ッ!」
下半身を地面にめり込ませたままの巨大な石像を生み出す。その石像――巨人は、左右の剛腕で暴走するジュエルシードを掴もうとする。だが、暴走する魔力がそれを拒んだ。
「抑え込め――!」
巨人の心臓にありったけの魔力を注ぎ込む。ジュエルシードの魔力に押され、巨人の身体に細かなヒビが入り始める。双方の魔力の狭間で供物が悲鳴を上げ始めた。魔力の圧力に耐えきれないのは、自分の身体も同じだった。右腕を中心に裂傷が走り始め得る。だが、この破壊を止められるなら、どちらが壊れたとしても構わない。対処法はどちらも同じだ。壊れたなら直せばいい。
バキンッ!――と、何かが砕ける嫌な音がした。供物が限界を迎えたらしい。だが、その直前巨人の両手がジュエルシードを叩き潰すようにして掴みとった。抑え込まれた魔力の残滓が、心臓を失った巨人をあっさりと砂塵に戻すが――それでも、僅かながら状態が安定する。最後の好機だった。なのはをその場に残し、走る。
「鎮まれ――!
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