魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇4
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い。時間的なものもあるだろうが……改装中あるいは建築中というのが主な理由だろう。再開発が進むビジネス街。ジュエルシードの反応が確認されたのは、そんな場所だった。周囲にはほとんど人影がないのはありがたいが――
(今までよく暴走しなかったな)
商売というのは、大なり小なり欲望がつきまとう。何にしろ金が絡む以上、それは仕方がない事なのだろうが……いくら未完成とはいえ、それが濃縮されたこの場所で、よくも今まで暴走しなかったものだ。
「まったく、こんなゴミゴミした中から探すのは一苦労だねぇ」
隣で周囲を見下ろしていたアルフが、大げさな仕草で肩をすくめた。
「そうだね」
逆隣のフェイトが、アルフの言葉に頷く。それから、少し考え込んで言った。
「ちょっと乱暴だけど、魔力流を撃ちこんでジュエルシードを強制発動させよう」
この少女は、意外とやる事が大味だった。ため息と共に制止する。
「この辺りにあるのは、明らかだ。それなら、わざわざ暴走させる必要はない」
「え? でも……」
「いちいち探してたら夜が明けちまうよ?」
彼女達の魔法は安定しているし、広範囲を薙ぎ払うには有利かもしれない――が、どうにも繊細な手法が失われている。そんな事を思い出しつつ、ため息をつく。
「俺に任せておけ」
ため息交じりに告げてから、心眼を開く。感覚の触手が周囲に根のように張り巡らされ、閉ざされた視界の中に影画の街を描き出す。その中で光を放つのは、両脇の魔女達の魔力。そして、建築途中のビルの片隅で輝く、異質な魔力。間違いない。
「行くぞ。ついてこい」
言葉より先に、ビルから飛び降りた。魔力を練り上げ、背中に翼を具現させる。あまり時間はかけたくない。フェイト達とジュエルシードの輝き以外の輝きを捕えていた。なのはとユーノのものと考えて間違いあるまい。できれば、接触せずに済ませたい。
(まぁ、無理だろうけどな)
どうやら、相棒が気付いたらしい。真っ直ぐにこちらに向かってくる。心眼を頼りに、夜のビル街を一息に突き抜ける。
目標の寸前で目を開く。淡い月光の中で、青い宝石が輝いていた。それに右腕を突きつけ救済を行う。だが――
『悪いな、相棒!』
光の鎖が、互いの魔力によって中空に浮き上がっていた宝石を狙って奔る。
「フェイト、来い!」
咄嗟に救済を中断、それを引っ掴み、上空へと放り投げた。
「怨念の拳よ!」
さらに、土拳魔法で遥か上空――フェイトのいる方向へと突き上げる。
「なのは、行って!」
ユーノの声に従い、なのはが急激に上昇するのが見えた。だが、その先にはフェイトとアルフがいる。
「させない!」
「待って! 話を聞いて!」
フェイトとなのはが激突した。その横をすり抜けて、アルフがジェルシードへと迫る。なのはなら、フェイトの
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