魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇4
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った一発の魔法でただの肉片になって消えた。
それで、邪魔者は消えた。再び死肉の大地を進む。
どこに向かっているのだろう?――今さら、どこに帰ろうとしているのだろう。
今さら?――良く分からない。良く分からないまま、彷徨い続ける。その果てに行き着いたのは、一件の家だった。中に入る。それが、自然な事のように思えた。だが、誰もいなかった。何故、誰もいないのだろう。どうして?
ああ、それは当然だった。誰もいる訳がない。何故なら――
タッタイマ――オレガコノテデコロシタバカリジャナイカ……
「光! 起きて!」
……――
金髪の少女の顔が、急に視界に入った。――だが、この少女はすでに死んだはず……。
「大丈夫? 魘されてたみたいだけど……」
……なるほど。彼女――フェイトの声で、正気に戻った。今の悪夢は、全て殺戮衝動が見せた幻だ。かつて恩師が悩まされたその幻影まで蘇ってきたらしい。まさか今さらになってそんな事を追体験する羽目になるとは思ってもみなかったが。
「ああ、大丈夫だ。……少し夢見が悪かっただけだよ」
実際のところ、少しどころの騒ぎではない。最悪の気分だった。夢であった事への安堵など、とっくに消え去って影も形もない。そもそも安堵を感じるだけの余裕があったかどうかも怪しいところだ。
(あとどれだけ時間がある……?)
なのはやフェイト達を『殺した』感触が今も残る右手で顔を覆い、呻く。手からは真新しい血の匂いを感じた。もちろん、それは錯覚だろうが――殺戮衝動は確実に自分を蝕んでいる。このままでは、あの『夢』が現実になるまでそう長くはかかるまい。
それまでに、フェイトの『母親』と接触を取る必要が――この『衝動』の正体を見極め、解消しなければならない。そうでなければ、今度こそあの光景が現実のものとなる。
「あの、調子が悪いなら、今日はゆっくり休んでた方が……」
フェイトの声に、窓の外を見やる。すでに日は沈んでいた。ああ、なるほど。そろそろジュエルシードを探しに行く時間だ。
「……いや、大丈夫だ。行こう」
身を投げ出していたソファから、鉛のような身体を起こす。あくまでも一時的なものだろうが――それでも、『夢』で散々暴れまわって満足したのか、殺戮衝動は静まっていた。なのはと接触する可能性がある以上、なるべく正気の時に封印を済ませた方がいい。 まぁ、もっとも――
(できれば、今回は殺しがいのある魔物でも用意してほしいところだがな)
数を得られないなら、せめて質だけでも――自分自身の欲望に舌打ちする。右腕の殺意に意識を乗っ取られる時は、自分が思っている以上に間近に迫っているらしい。
4
「さて、この辺りのどこかのはずなんだが……」
真新しいビルの屋上から、周りを見回す。明かりの灯ったビルは少な
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