暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
禁断の果実編
第88話 白い武者とラプンツェル
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『――俺が守ってやるまでもなく、光実は強い子だった』
「え?」
『転んだ時に俺が慌てて駆け寄っても、泣かないで、俺に「ありがとう」と言ったんだ』

 蔓が向かってくる。斬月は慌てず、無双セイバーで斬り捨てた。

『泣いたら俺が心配するとあいつは分かっていた。聡くて、それでいて強かった。本当は俺なんかが及びもつかないくらい――』

 才能に恵まれている光実。融通の利かない貴虎と比べれば、ずっとしなやかな光実。

「そう」
『気に入らない話だったか?』
「ううん。わたしにはすてきな兄さんが二人もいて、しあわせだなって。泣かなかった光兄さんも、それに気づいてあげた貴兄さんも。わたしのジマン」

 碧沙は肩に擦り寄った。アーマーの硬さがあるだけだろうに。まるで貴虎自身がそうされたかのように肩が温まった気がした。
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