伊月「俺は――」
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志乃はそれが決定事項のように言葉を吐き出す。
「だって、『私に興味持ってなかったのは、胸がでかいからなの……?』って言って泣いてたから」
「泣いてたの?そんな事で?」
別にそれが理由じゃないんだけど。あいつ、いつになったら自分の性格をちゃんと理解するんだろう。計算通りにやるくせに、肝心なところずれてるよな。にしても、泣くのはダメだろ。これについても女子から散々言われそうだな。はぁ、やっぱ学校嫌だわ。
そんな俺の心中を察してか、志乃は一言呟き、俺の部屋を出て行った。
「兄貴なら大丈夫」
気の入っていない言葉だが、何故か少しだけ安心感が生まれた。
*****
次の日。志乃と学校へ行くと、男子勢に囲まれた。
「葉山!お前はなんて素晴らしい奴なんだ!」「お前のおかげで女性の本当の魅力に気付けた!ありがとう!」「おっぱいだけが全てじゃない!それなのに、俺達は……!」
いいからお前らとっとと離れてくれ。男に囲まれて爽やかな笑顔向けられても嬉しくないから。
一方、女子からの視線はドライアイス並みに冷たかった。しかも運の悪い事に、男女混合の出席番号順の席のため、周囲の女子比率が高かった。
五十嵐は他の女子と違って唯一話しかけてくれたが、最初の一言の「葉山君は、胸が小さい方が好きなの……?」という純粋な戸惑いの色が混じった質問に心が折れそうになった。いや、違うんだ。でも否定は出来なかった。
本山に関してはずっと元気が無くて、毎度毎度女子がやって来て慰めていた。そして、時折俺を睨みつける。お前ら、それは無いぞ。あいつが勝手に絡んできただけなのに、俺が悪いみたいに見るな。
俺の悪運は、どんな時でも健在らしい。全く持って嫌な性質を持っちまったよ。
でも、志乃との和解の代償がこれだって言うなら、こんなのお安いもんだ。
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