伊月「俺は――」
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ってさ〜」と勝手に話を進めようとする本山の前で、俺は大きめの声で台詞を放つ準備をする。
「俺は――」
「え?」
自分の事だろうと思ったのか、本山が首を傾げ、俺を見つめる。皆きっと、これに参ってやられたんだな。
そう考えながら、俺は志乃に命じられた言葉を口の中から解放していく。
「俺は、貧乳が――」
最後。教室は愚か、廊下一帯にも響くようなバカでかい声で、俺は宣言した。
「俺はちっぱいが心の底から大好きだあああああああああああああああああああああああ!!」
*****
気付いたら自分の部屋にいた。ベッドに横たわり、天井を見つめていた。って、この展開前にもあったよな。
確か俺は、志乃に証明してくれって言われて、貧乳大好き宣言をしたんだっけ。うわ、今思うとマジでヤバい事したな。これ、本当に通報されかねないぞ。
思わず額に汗が滲むが、丁度その時部屋に来客がやって来た。ノックもせずに堂々と入り込んでくるのは家族全員なので、いちいち確認しなきゃならない。くそ、俺のプライバシーはどこに消えちまったんだ。
俺が顔を右に向けると、そこには体操服姿の志乃がいた。志乃は無言で机にある椅子に腰掛け、あの後の事を説明してくれた。
「最初に、兄貴がゼンマイ切れたみたいに倒れた」
道理で記憶が一切残ってないわけか。
「で、兄貴の名セリフを聞いた男子が感動して、気絶した兄貴を胴上げしてた」
「そこは俺を気遣って保健室に運べ!」
つか、うちの男子は一体何なんだ?巨乳が好きなんじゃねぇの?まぁ、関係が修繕出来たのは今後動きやすいかな。
「でも、女子が兄貴の悪口すごい言ってた。『葉山君って見た目と違って変態なんだ』的な感じで」
「悪口止めろよ!」
いや、志乃の事だからそれを遠目に聞いて笑ってたんだろうな。性質の悪さは本山と同等かそれ以上だな。
「それで、私がタクシー呼んで家まで帰ってきた」
「マジか。じゃあ、金払ってくれたのか」
「うん」
「ああ、じゃあ割り勘にしないか?お前に全額払わせるのは勿体無い。タクシー高いし」
そう言って財布を取り出して、志乃に料金を聞いてその半分を渡す。
「ちなみに、その額は間違ってないよな?」
「当たり前じゃん。私を誰だと思ってんの?」
すごい自信満々に返って来たので、あえて追跡するのは止めた。
そこで少しだけ何も話さない静かな時間が出来たのだが、志乃が小さい声で呟いた事で、沈黙は破られた。
「あの女狐は、もう兄貴に関わって来ない筈」
「?何でそんな事言えんの?」
突然そう言われて純粋に気になったので聞いてみると、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ