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相棒は妹
伊月「俺は――」
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せたい気か?つか、今はシリアスな展開なんだから、それに見合った事を言ってくれないかな。詳しく言えば、もうちょっと華々しい事だ。

 「だって、私を優先してくれるんでしょ?」

 「……お前、さっきまでのは演技だったの?」

 俺が訝しげに呟くと、志乃が珍しく慌てながら弁解の言葉を吐き出す。

 「ち、違う。ただ、兄貴の言葉に証明を付けてほしいだけ」

 証明?俺が志乃を優先する事に対して?なるほど、確かにそれは必要かもな。言葉だけの絆なんてクソ食らえだし。でも、ちょっと待てよ……。

 「つまりお前は、自分が貧乳であることをみとめ……」

 「そこまで詮索しないで変態」

 俺の言葉に被せ、暴言を吐く志乃。だが、その態度がいつも通りに変わっている事に気付き、なんか懐かしく思えた。たった一週間ぐらい喋ってなかっただけなのに、本当に笑えるな。

 それが顔に表れ、クスッと笑うと、志乃が嫌そうな顔をして再び酷い事を呟いた。

 「兄貴一人でに笑うとかキモすぎるよ。顔の手術した方がいいんじゃないの」

 「余計なお世話だっての」

 そう言って、俺達は立ち上がる。

 階段を降りて行く時に他のクラスの生徒から心配そうな視線を向けられたが、あえてスルーする。心配なんていらない。もう復活したんだから。

 だが、俺の中に危険信号が点滅しているのは事実だった。だって、考えてもみてくれ。最初は何とも思わなかったけど、考えてみるとけっこうヤバい台詞だよなこれ。下手したら女子にセクハラで訴えられるぞ。

 念のためそれを志乃に聞いてみると、

 「兄貴なら大丈夫」
 
という根拠の無い言葉が返ってきた。まぁ、大体予想はついてたけどさ。

 俺達は教室の前に辿り着く。掃除当番で廊下を担当していた五十嵐や少数の男子友達に心配されたが、親指を立てて問題無い事を告げる。

 「行ってら」

 まるで戦争に向かう夫を見送る……とは程遠い返事だが、志乃は俺にそう言ってくる。お前が言い出したのに興味無さそうだな、ってツッコもうとしたけど、今は次のステップに集中する事にした。

 俺は静かに教室の中に入る。すると、何人かがこちらを振り向き、何にも発さないで入口に突っ立っている俺を見て、再び掃除モードに切り替わった。

 だが、机を拭いていた本山が俺に気付き、「葉山君〜」と近付いてくる。こいつ、俺と志乃にイザコザ作った元凶のくせに、すげえ笑顔振り撒いてるよ。

 無性に苛立ったので、もう少し接近してから『台詞』を口にしようと考えた。

 四メートル。

 三メートル。


 二メートル。まだいけるか?



 一メートル。人と人が言葉のキャッチボールを交わすのに相応しい位置。「葉山君
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