暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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隅から発生した謎のフリーソフト。《ザ・シード》から生まれだされた無数のVRワールドがネット上を徘徊し、文字通り世界がガラリと変わったのだが、それでも時間というものは万人に、世界に関係なく流れていくものらしい。
あの事件は、一年という時と《ザ・シード》登場のインパクトの中で消え去りかけている。
この世とは、あるいは世界とは、突き詰めていけばそんな単純なものなのかもしれない。
小日向蓮はベッドから起き上がり、傍らにあるソレを引き寄せる。
最先端の運動力学を応用した、斜めにセットされた大き目の車輪に、ゆったりとした背もたれ。色は無機質なクリアシルバー。
車椅子である。
そう、彼――――小日向蓮はいまだに車椅子生活を余儀なくされているのだった。
背もたれに背を預け、車でいうギアノブのような取っ手を傾け、ロックを外す。続けて背もたれ上部に置かれている、チョーカーを半分に割ったような装置を手に取り、幾つものコードが繋がっているそれを己の頚椎部にはめる。
ピピッ、と。
微かな電子音が耳につく。
車椅子の運動制御プログラムと自分の大脳が、間接的に接続されたのを知らせる電子音だ。
―――前へ。
声にならない意思の声。
大脳から発せられた脚部への運動命令式をシステムが読み取り、車輪が滑らかに動き出す。
行き先は食堂。
日本家屋らしい滑らかな木造建築の床はところどころ軋むが、幸いにも車輪が止まるような段差はない。
「う〜、るり子さんおはよぉ〜」
寝癖だらけの頭をボリボリかきながら、あくび混じりに放たれたその言葉に答える声はしかしない。
だが、その事実は大食堂内に誰もいないという訳ではない。
隣接されている厨房。薄暗がりに沈むそこに、白い影がチラチラ見え隠れする。
それは手だ。
手首から先しかない人間の手首が二つ、フワフワと中を漂っている。と思っていたら、こちらの声に気付いたのか、手を振ってくれた。
これがるり子さん。
幽霊である、
生前、小料理屋を営む事が夢だったらしく、このアパートの賄いを文字通り一手に引き受けている。
「るり子さん、今日はパンで」
蓮の声に指で『OK』を出し、カチャカチャと忙しく厨房内で動き始めた。
水曜日午前十時半。
『おはよう』なのか『こんにちは』なのか激しく迷うこの時間帯は、平日だという事も相まって最も住人達がアパートにいない時である。
葛城ミサトや月詠小萌などの社会人ズはいないのも当然であるが、勤務時間がそもそも不確定な画家である深瀬明はたいてい昨日の酒呑みの二日酔いでダウンしているか、もしくはまだ呑み食いしているかだ。ヒキコモリな天才プログラマーである赤坂龍之介などは、そもそも自
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