No6 ドM
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圧勝……とまではいかなくとも、ジロウは俺との力の差を見せつけられたはずだ。
果たしてその敗北が、ジムリーダーとしての自信に繋がったのだろうか
「………………」
ジロウは絶句している。そりゃそうか。自信なんてつくはずがない。
トレーナーは皆、自分より弱いやつを倒すことで自信がついていく。聞こえが悪いが、トレーナーというのは、人間というのはそういうものだ。
「………レッドさん」
「ん?」
ジロウが口を開いた。おいおい、こいつなんなんだ? また笑ってるし。
「俺………自信、つきましたよ……!」
「……はああ!?」
なにいってんだコイツ、負けて自信がついた、だと?
……変わったやつなのか? あのサトシとかいう新人もそうだったが。
「一瞬とはいえ、レッドさんをあそこまで追い詰めることが出来たし……」
「まあ、実際追い詰められたしな」
「それに……戦っていて、楽しかったんです」
楽しかった……か。負けたのにか? 俺には理解が出来ない。勝てば嬉しい。負ければ悔しい。
勝ったら自信がつくし、負ければより高みを目指すようになる。楽しいなんて感情は、前者の中にしかない。
「楽しい……か、負けたのにか?」
「はい! なぜかは分かりませんが……」
「……理解が出来ない」
ジロウはドMなのか? とりあえず俺はまだ色々、寄るところがある。
「ジロウ、俺はもう旅立たないといけない、じゃあな」
「あ、レッドさん!」
呼び止める声がしたが、俺は無視してジムを出た。
チャンピオンはクールに去るぜ、またなジロウ、ジムリーダー頑張れよ。
外は、すっかり夕方になっていた。
「リザードン、またお前の出番だ」
「グオォ!」
俺はリザードンをボールから出した。今日三回目のそらをとぶ。
多用するとリザードンが疲れてしまう。今日はもう飛ばすのはやめよう。
行き先はシオンタウン、タケシ、待ってろよ。
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