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銀河英雄伝説〜物騒な副官〜
07困惑と共に
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きれた様にバルツァーは言った。
「無論、キスリングのことに決まってますよ。」
「まあ、卿の知っている通りの人となりだが…多少付け加えるなら自分の気持ちに相当鈍感な事ぐらいだ。」
「それって結構まずい、ですよ?今回の場合。」
「大丈夫。今回のみ奴はノーマルだ。」
「…そうですか……チッ…………」
「いや、あの、バルツァー中将?」
「…いえ、引っ掻き回しがいがあまりないな、と思っただけですよ。」
「…………それはそうと、トンクス大尉はどうなんだ?」
「何重にも輪をかけて鈍感ですよ。」
「そうか……」
「というか、そうでなければオーベルシュタイン閣下に只の尉官が勝てるわけがないでしょう?」
「そう、だったな……(遠い目)」
「まあ、二人のゴールは一万年後の遠い未来でしょうね。」
「…キスリングも災難だな……(二重の意味で)」
酔い醒ましのために準備されている水差しの中の氷だけが虚しく響く。それに終止符を打つかのように地を這うような声が二人の頭上から響いてきた。

「どこの、どなたが、災難、ですか?」
「キ、キスリングッ?!」
キスリングの足音が無いことに慣れている筈のミュラー も流石に飛び上がってしまった。
「小官に何か御用でしょうか、ミュラー大将閣下?」
「キ、キスリング、その、何でもないんだ…!」
「おや、そうでございますか。何かおっしゃった気がしましたが…?」
「キスリング、敬語は仕事場以外では止めてくれ。俺達はし、親友だろう?」
その言葉に一瞬キスリングは目蓋を閉じると、次の瞬間額に青筋をたてながら静かに問う。
「……じゃあ、単刀直入に聞こう。何の事を話していたんだ、ミュラー。」
「それは…」
「それは、あなたがトンクス大尉にホレた事についてですよ、キスリング隊長。」
「ちょ?!ちょっと!!バルツァー中将?!」
「は………?」
シレッとバルツァーが真実を言ったことにミュラーは青ざめてしまう。言われた当の本人は暫の間何を言われたのか理解できずに呆けた。
その間にも話はどんどん続いていく。
「取り敢えず、卿にトンクス大尉を預ける。」←押し付けるともいう
「へ……?」
「トンクス大尉は酔っている。この幼気(いたいけ)なお嬢さんを丁寧に扱うように。」
「え、えええっっっ!!!!!!?????」
「健闘を、祈る。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!!バルツァー中将!!!」
キスリングが漸く再起した間に逃走をはかろうとした無責任な将官二人に、慌ててキスリングが 待ったをかける。
が、キスリングの必死の制止をバルツァーは完全無視し、ミュラーを引っ張って店の外に出ようとする。するとウェイターが控え目にバルツァーに言う。
「あの……お勘定の方は…?」
「ああ、それはビッテンフェルト提督の方にまわ
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