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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.17 デリオラ崩壊
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動かぬ証拠であった。
 自分たちを連れ戻しに来た筈のワタルが、自分の意思を汲んで送り出してくれたことにグレイが感謝の笑みを浮かべると、ワタルもひらひらと手を振ってそれに応えた。

 一つの問題に片がついた事に笑みを浮かべる面々だが、まだ問題は終わっていないことは、デリオラの復活の咆哮が木霊するこの空間にいれば火を見るより明らかな事である。
 その口火を切ったのはナツだ。

「そんな事よりグレイ、ワタル! アイツぶっ倒すぞ!!」


「ククク……」

 だが、ナツに応えたのはグレイでもワタルでもなかった。
 暗闇から響くような掠れた笑い声。その声に含まれた狂喜とも呼べるような感情に、一同は声の主……リオンを見やる。

「お前らでは、無理、だ。アレは、俺、が……ウルを超える、ために……ククク……」

 この場で最も満身創痍であるグレイのゆうに倍はボロボロの姿で、立つこともままならず、震える手で這って進むリオンの顔には熱で浮かされたような虚ろな笑みが張り付いている。
 師を超える事への狂的とすら執念に、ワタルは憐みの念を抱いた。

 すでに気づいてしまったのだ。

「オメーの方が無理だよ! 引っ込んでろ!」
「やっと……会えたな。デリオラ……!」

 ナツの言葉も、今のリオンには届かない。
 息を荒くしながらも、リオンは生まれたての小鹿のように震える足を踏ん張り、立ち上がろうともがく。

「あのウルが……唯一、勝てなかった、怪物……今、この手で……!」

 最強の魔導士と名高いウルに弟子入りを志願し、彼女を超えるためだけに己を磨いてきた。彼女がいなくなった後も、師匠を越えなければ自分は先に進めないと、見えない鎖で自分を縛ってまで、リオンは師匠を超える事にこだわった。

 長年の野望がついに叶う時が来たのだ。
 その執念は限界を超えていた身体に力を与え、リオンは震えながらも立ち上がった。

「俺は、今……アンタを超える……!!」

 そんな彼を、ワタルは止めようとした。見ていられなかったともいう。
 リオンの執念の対象となっているデリオラが今どんな状態なのか、彼は持ち前の感知能力で、この場にいる誰よりもはっきりと分かってしまったのだ。

 だが、そんな彼より早く、リオンを止めた者がいた。

「ガ……!!」
「リオン、もういいよ。後は俺に任せろ」

 グレイだ。

 リオンの首筋を打った手刀には殆ど力がこもっていなかったが、限界を超えたリオンの身体は彼の意思に反して、あっさりと地に伏した。

「デリオラは俺が封じる!!」

 グレイはリオンに背を向けデリオラの方を向くと、両手を伸ばし、クロスさせた。
 その構えは……

絶対氷結(アイスドシェル)……!? 止せ
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