惚れたが負け
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いよ」
けれど平田はそれには首を横に振った。
「いいのかよ」
「ブラックも美味しいし。それに」
「それに?」
「折角桶谷君から貰ったものだしね」
「へっ」
それを聞いてすぐに口の端と片目を歪ませてやった。
「よく言うぜ。ったくよお」
何かイライラとかがどっかにいっちまった。俺と平田はコーヒーを飲みながらバスを待った。今日は珍しいことに俺が乗るバスと平田が乗るバスの両方がやって来た。俺達はそれぞれのバスに乗り込んだ。
「それじゃあ」
「ああ」
いつもの挨拶だ。けれど何かそこに物足りなさを感じた。どうしてかはやっぱりわからない。何かこいつと一緒にいるとそんなふうにばかり感じていた。それが何なのか後になってわからさせられた。今思うと迂闊だった。
一緒にコーヒーを飲んでから数日経った。俺はあらためて声をかけた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ」
「何?」
平田は顔を俺に向けてきた。そして俺に対して尋ねてきた。
「あのさ。ここって全然危なくねえよな」
「そうかしら」
何か急に慌てて言ってきt。
「だってよ、普通に通学路だしよ」
「けれど暗いし」
「暗いって」
正直それは理由にならなかった。今俺達の頭の上には灯りが照っているからだ。
「嘘だろ、それって」
「普通に暗いじゃない」
「そんなこと言ったらこの季節今の時間で明るいところなんてないぜ」
「けど暗いのは本当じゃない」
何か言葉が嘘らしくなってきた。けれど聞いてやることにした。
「だから・・・・・・危ないし」
「ふん」
「ボディガードしてくれないと。いざって時同じ図書委員ってことで悪く言われるかも知れないわよ」
「生憎俺はそんなの気にはしないがな」
突き放して言ってやった。
「御前みたいなのがどうなってもな。俺には関係ないさ」
「そんな」
それを聞いて急に泣きそうな顔になった。
「何でそんなこと言うのよ」
「当然だろ」
俺はまた言ってやった。
「俺と御前は赤の他人だぜ。ましてや友達でも何でもないだろ」
さらに言ってやった。
「それで何で付き合わなくちゃいけねえんだよ。図書委員なんて代わりは幾らでもいるんだよ」
「赤の他人」
「そうだよ」
またイライラしてきた。
「赤の他人に何期待してるんだよ」
「それじゃあ赤の他人じゃなかったらいいのね」
「!?」
俺はそれを聞いて一瞬だが眉を顰めさせた。
「おい、今何て」
「ええと」
ここで平田は辺りを見回した。そして誰もいないのを確認してから俺に顔を向けてきた。
「こういうことなんだけど」
「こういうこと!?」
急に俺の首
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