第四十二話
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佳杜は和子が妬ましいと言った。自分に気兼ねして生彩を欠く和子の様子に気づいていて、それを楽しんでいるのでは……
「私から和子に声をかける事は無いと思います。……こんな私がチームに居たら迷惑ですよね。辞めて欲しかったら、いつでも言って下さい。すぐにチームを出ていきます。」
「え?」
「そもそも、和子と姿くんと一緒の部活に入るつもりは無かったんです。権城さんが去年、練習を手伝ってくれて、高等部で待っていると言ってくれたから、また野球をしました。権城さんが必要ないと一言言えば、すぐに辞めます。遠慮せずにどうぞ。……私はバイトの合間に遊んでいただけなので、そろそろ仕事に戻ります。では。」
佳杜は権城に背を向けて、一度も振り返らずに部屋を出て行った。権城は隣が居なくなったソファにだらしなく寝転がってため息をついた。
(許嫁とかいうこの島の因習に、色恋沙汰に、そんな所まで絡んだ話なら俺がどうこう言ってどうにもなる問題じゃねぇよなぁ。あの2人の関係は当分の間このままか。)
チームの主将として、後輩同士の関係を何とかしてやろうと動いた権城だったが、今回に関してはどうにもならなさそうである。権城は無力感を感じた。
(色々考えても、俺一人にできる事なんて知れてるか。)
権城の体から力が抜けた。
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