第四十一話 競争
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にしっかりした、まさに堅実な守備をしている。
一方、佳杜とセカンドを争う和子は左打席からのスイングがシャープで、打に関しては佳杜を上回る。そして守備も悪くないので、総合力なら和子が上か。
ポロッ
「おーいおいおい!」
「和子ー!らしくないぞー!」
しかし、佳杜とのポジション争いが明確になった途端、和子のプレーがイマイチ消極的になり、凡ミスも増えた。ノックの順番も、自ら佳杜の後ろに並ぶようになり、表情も冴えない。
(………)
キャプテンの権城としては、これは放っておけない。
ーーーーーーーーーーーーーー
「和子、お前佳杜と何かあったのか?」
練習後、バックネット裏の監督室(前までは形代が使っていたが、今は形代が練習に来ないので空き室になっている)に和子を呼び出した権城は、単刀直入に尋ねた。
和子はギクッとしたが、すぐに笑顔を作った。
「い、いえ……何もないですよ」
「ふうん?何か佳杜に遠慮してるように見えるんだけどなぁ」
「いや、それはありませんよ。そう思った事なんて無いです」
「……の割には最近生彩欠いてない?」
「それはっ……あたしが下手なだけです。佳杜は関係ないですよっ」
「あぁ、そう。……なら良いけどさ」
権城はどうにも引っかかるものを感じたが、これ以上聞いても仕方がないと判断して和子を帰した。
「……いきなり単刀直入に聞きすぎじゃないですか?」
「おい!居たのかよジャガー!」
和子が帰ってから、突如姿を現したジャガーに、権城はびっくりした。全く気配も何も感じさせずこの狭い部屋に隠れていたとでも言うのか。まるで忍者である。
「そりゃそうですよ、私もこのチームの副将なんですから。主将がする話は気になります。……そして、やっぱり単刀直入に尋ねすぎですよ。」
「和子だから正直に言ってくれると思ったんだけどなぁ。誤魔化されるとはなぁ。普段あんだけ明るくて素直な子なのになぁ……」
「……そう見える子ほど、実は取り繕ってたりするんですよ。明るくて素直な自分を。和子様もそうなんではないでしょうか」
まぁそうか。権城は納得した。いつもいつも明るく居れる奴なんて居ない。ダルい日もムカつく日もある。なのに明るく毎日振る舞えるというのは、ある程度作っている部分もあるだろう。
「で、ジャガーは何か知ってんの?」
姿と和子にずっと長いこと寄り添ってきたジャガーに尋ねてみると、ジャガーは困った顔をした。
「いえ、それはあまり……でも、和子様と佳杜さんは、幼少期はとても仲が良く、いつも一緒に遊んでいらっしゃいました。それがいつから疎遠になったのか、私にはよく分かりません」
「そうかぁ。じゃあ本人達しか分からんって事なんだな」
権城はため息をついた。
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