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無欠の刃
アカデミー編
弱点
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 全力疾走。
 試合の前だというのに体力を無駄にしながらも、カトナは全くそれを意にも介さず駆け抜ける。と、女の子に囲まれ、ちやほやとされていたサスケを見つける。

 サスケは迷惑そうに顔を歪めていたが、すぐさまカトナを見つけたようで、目が細められる。
 柔らかくなった表情と周りの様子を見比べたカトナは、どうしようかと迷う。
 迷惑がっているのは分かっているのだ、それでも、サスケが誰かと仲良くしているのに、邪魔するのはいけないような気がして。
 あげていた手を下ろそうとした時、山中いのが、嫌がるサスケに無理やり抱き着いたのを目にする。
 天敵が、サスケにくっついている。
 びしりとカトナが固まった。
 彼女の中に激流の如き感情が流れ込み、次の瞬間、爆発する。
 彼女はにこりと微笑し、小さくつぶやいた。
 隣の人にも、誰にも聞こえないくらい小さな声。

 「サスケ」

 カトナに名前を呼ばれたことで、それまでなんとか穏便にあしらおうとしていたサスケが一瞬にして行動に移す。
 悪いと言い置くこともせず、サスケは無理やり人の波をかき分けた。
 突然のことに驚く周りの人間はすべて無視し、サスケは一目散にカトナのそばに駆け寄る。
 カトナは勝ち誇った笑みをいのに向けた。
 気が付いたいのがカトナを睨みつける。
 激しい火花が散ったが、当の本人であるサスケは気にも留めない。

「どうした?」
「…次の試合、サスケと、当たるって」
「まじか」
「だから、その」

 刀は使わなくていいかと尋ねようとしたカトナは、どうしようかと俯く。
 手加減はしたくない。演習でも、本気でも戦いあいたい。それでも、弱点を無駄にさらしたくはない。特に教師の前では、絶対に晒したくはない。
 それは、カトナのポリシーに反する。
 自分は無理強いさせるのに、サスケには許してくれなんて、ずうずうしくないだろうか。
 俯いたカトナに全てを察したらしいサスケは、ぽんっと頭に手を置く。

「俺はなるべく忍術を使わない。使ったとしても十回だけ。だから、刀を使え」
「…ごめん」
「別にいい。手の内をさらし過ぎるのは、馬鹿がすることだ」

 そう慰められて、カトナは少しだけ嬉しそうに笑った。
 笑顔になったことでほっと無名をなでおろしてから、サスケはカトナが大事そうに持っている刀を見る。

 カトナの、数少ないともいえる持ち物の中では、特に大切にされている…刀。
 しかし、この刀、だいぶ扱いが面倒くさい弱点があるのである。

 赤い鞘に入れると、カトナ以外のチャクラに反応し、くっついて離れないとりもちのようなものになる。そのうえ、カトナが籠めたチャクラ量に見合った分、相手の生命エネルギーを奪い、自分に還元することが出来る。

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