第三十九話 まだまだこれから
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く、みんな悔しかったはずです。週に三度の練習で、本当に甲子園が無理だと言うのなら、悔しさなんて湧いてこないはず。よく頑張ったと、みんな満足して終わったはずです。しかし、僕らはみんな悔しさを感じた。みんな、勝てると思ったから悔しかったんですよ。勝てると思えるという事は、勝つ可能性があるという事。やれそうな気がする事は、やれるんです。」
権城は最初、姿を睨んでいたが、次第にその表情は柔らかくなっていった。
「……さすがだ、姿。そうだよな、俺らみんな悔しかったんだ。俺としちゃ、南十字学園はこの夏の準決勝で初めて“負けた”と思ってる。これまで南十字学園は試合には負けても、本当の意味じゃ負けてこなかった。本気で戦ってこなかったからな。でもこの前の準決勝は違ったろ?みんな本気だったよ。負けたけど、本気になったらここまでやれるのかって、自分達の底力も良く分かったと思う。俺たちに底力があるって教えてくれたのが、ついさっき引退していった三年生達だった。」
権城は立ち上がり、大声を出した。
「週三じゃ無理だなんて決めつけてるのは、他所から見てる連中だ!俺らの可能性は俺らが一番良く知ってる!俺たちは勝って甲子園まで行く!結果を出すには他の全てを捨てなきゃいけねぇって常識、野球だけに打ち込んでただの野球マシーンにならなきゃ甲子園いけねぇって常識!このちっさい島から、この世の常識を叩き潰してやろうぜ!」
「「「おおおーーーっ!!」」」
熱っぽい権城の言葉に、円陣を組んだ皆が、手を突き上げて答えた。
(あれ、結局甲子園行けるって事でOK?俺、一体何の為に怒られたんだ?)
その中で松山だけが首を傾げていた。
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