EPISODE42 涙
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「・・・・ヴィクトリア・デュノアの行方は?」
「残念ながら逃げられました。やっぱりデュノアさんが目的だったようです」
「・・・・違います。彼女は僕を狙ってました。彼女はただ巻き込まれただけです」
「どういう事ですか?」
「?デュノアさん?はあくまでも僕を誘い出す為の餌。本命は、僕の拉致でした・・・・」
結果としてシャルロットは撃たれ、本来の目的とは違っていたがあの口ぶりからしてそう考えて間違いはなさそうだ。そして多分欲しているのは、ギアスか、それともクラブか・・・・。そこまでは至らないにしても、どのみち自分が対象とされていたのは間違いない。その証拠に同じ男性操縦者である一夏の方になにもなかったのがその証だ。敵の狙いははなから此方だったとして断定できる。
そう。彼女はただ、巻き込まれただけなのだ。そしていずれまたやってくる。そうなれば、今度はこうはいかない。きっと次はもっと被害がでて、怪我人どころではなくなる。
思考が最悪の結末を描き出す。これはそれまでの布石だと導き出した答えにライが下した決断は――――
「ダメです」
真耶が言い、手を重ねてくる。それはまるで引き止めるかのようなものに見えるのは自分の出した答えのせいか。
「ライ君は、一人で抱え込みすぎです。もっとまわりを頼った方がいいと思います」
「でも、ここにいればまた・・・・」
「大丈夫です。ここにいる人たちはみんな貴方の味方です。それに、これでも元日本代表候補性で学園教師ですから。生徒のことは、私が責任をもって守ります」
頼りないですけどねと苦笑い。それでも表情を変えないライに困ったように笑いながらそっと抱き寄せた。突然のことに慌てるライだったが、直後に感じた温かさにそれもなくなる。
「何を抱えているのか、何を考えているのか。それは貴方が話してくれるまでは私も訊きません。ですが、これだけは覚えておいてください。どこにいても、どんな時でも。貴方にはもう、帰る場所があること。そしてそこには、貴方のことを想ってくれる人たちがいること。私も、貴方のことを想っています。それだけは、忘れないでください」
さながら、子をあやす母親のような。顔を上げればそこにはいつも通りの変わらぬ笑顔。その微笑みに、ライは誰かの面影を見た。それが誰だったのかは思い出せない。でも、どこか懐かしくて温かい・・・・そんな感じがした。
「僕は、ここにいてもいいんでしょうか・・・・」
「もちろんです。その為に、私が貴方を守ります。もう、一人じゃないから」
重なった感触から伝わるぬくもり。人の持つ温度はこんなにも安らぐものなのかと心を落ち着かせていく。
「私が受け止めます。だから、今
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