EPISODE42 涙
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は笑い話にもならない。
「私は・・・・」
結局のところ、信じきれていなかったことがこの結果を招いた。彼らを信頼していれば、あの子は傷つかずに済んだ。共に遊園地へ行こうという約束も実現させてあげることも。でも、自分の判断が誤ってしまったばかりに招いた結末は・・・・こうもモニカを責めたてる。だが――――
「こなっても、まだ私は彼らを・・・・!」
信用すら、していないのか。悔しさの念が静かに頬を伝った。
◇
陽もすっかり落ちた夜7時。時計の表示をその数字をさしてはいるがそれさえ気にとどめるほどの余裕はない。先ほどまで問いかけていた少女は今は沈黙を置いている。機体にかかった不可の処理に追われているのだろうと彼女の苦労をそっと労うとともに自分の中にある虚無感を探る。
何かを失くした。あの時、ガラスがひび割れるような音とともに何かが自分のなかから消えていくのを感じた。なのに、それがなにかすらも思い出せない。思考する。途中で中断されるを繰り返す。
唯一残ったのは、今まで曖昧だった自分の過去。それもこの世界でのものではない何か。それが、ライを責めたてる。
「・・・・僕は・・・・」
呟いたところでドアをノックする音が聞こえる。返事はせず居留守でごまかそうとするもそれも無駄だったようでドアが開き中に入ってきたのはこの部屋のもう一人の主だった。
「電気もつけないでこんなところにると、余計に気分が沈んじゃいますよ?」
そう言って気遣ってくれているのかベッド脇にあるスタンドライトのみをつける。淡くともる灯りがその周囲のみを照らし、二人の間に温かいオレンジ色の光を落とす。ベッド、枕側の壁に背中を預けているライに対し、真耶はその傍に背中を向けて腰を下ろす。ギシリ、とスプリングが体重に沿ってへこみ、僅かに押し返すことで揺れが生まれて彼女の躰を僅かに浮かす。
「・・・・何か、あったんですね」
雰囲気から何か察したのか真耶はあまり多くを訊こうとはせず自らの勘のみでライの抱えているものを察する。それがごく一部なのかすべてなのはは知るところではないが、それでもたぶん正しいだろうと判断し言葉をつづける。
「デュノアさんは一命をとりとめました。現在集中治療中です。ライ君がリヴァイブに生命維持を最優先にするようプログラミングしたことが幸をそうしまいした。もう峠は越えたそうです。それでも、意識は戻ったわけではありませんが・・・・あ、学園の方は大丈夫です。施設も破壊された外壁以外は何とか使用できますので」
それはただの報告。だが、それでもこの重い空気がずっと続くよりはマシだと思う。ライはそんな真耶の心使いに感謝しつつようやく口を開いた。
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