EPISODE41 狂王
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誰かのために泣くのがバカなら。
自分はどうしようもなくバカなんだろう。
誰かのために怒るのが愚かなら。
自分はどうしようもなく愚かなんだろう。
誰かのために血に染まるのが悪なら。
自分はどうしようもなく悪なんだろう。
――――それでもかまわない。彼女がまた笑顔になれるのなら、馬鹿でも愚かでもいい。悪だと罵られようともかまわない。ただ、あの笑顔をもう一度取り戻せるのならそれでいい。
世界が反転する。空と大地が反転する視界の中で、ライは引き金を引いてエネルギーの弾丸を放つ。それが相手の計6本ある腕の内一本を射抜いて爆発させる。
足りない。
今度は剣で。目にも止まらぬ速さで動き、エネルギーをがりがりと削っていくのが手ごたえでわかる。自分でもおかしいと思えるくらいには思考はクリアな方らしい。まだ人間みがあるのが唯一自分という意識が存在することを教え、それを手綱として動き回る躰を制御する。
渇く。飢えと渇望が止まらない。目の前の相手に、死を。最大級の屈辱と共に命の終焉を。それだけが今の自分が求める欲求だ。
「化け物がああああああああああ!」
残った腕からビームが放たれる。先ほどまでの余裕な表情はいったいどこへやら、今はその顔を恐怖と焦りに歪めて叫びながら此方を狙ってくる。射撃において重要なことは冷静に相手を狙い、大気の状態を把握し相手と自分との間合いを読むこと。IS戦闘においての射撃はほとんどの計算は機体が行ってくれるので比較的らくではあるが、引き金や最終的な狙いを絞るのはパイロット自身であるため、ヴィクトリアの今の精神状態では当るものも当らない。ましてやライの操縦テクニックの前では冷静であっても当っているかどうか怪しいところではあるが。でも、今の彼女では掠めることすらしない。高速で動く相手にギアスで心の内を読もうとするもその集中力さえ今は削がれており、結果ヴィクトリアは本来の実力以下のものしか出せていない。
まあ、出せたところで勝てるという保証はないのだが。
『殺す・・・・!』
一言。もうそれしか出てこないのが何とも哀れなことだがそんなこと知ったことではない。彼女はあまりにも多くのものを壊しすぎた。故に・・・・裁かなければならない。
「このガキが!たかが腕一本取ったくらいで調子にのるなァ!」
機体が警告を発する。
〔アビリティ…!〕
「これでもくらいな!」
それは、まるで音のようで。機体に干渉し、プログラムへと侵入してくるのを感じてC.C.はホロウィンドウを操作する。検索の結果判明したのはエネルギー機構の活動阻害とシャットアウト。パイロット保護に直結する
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