EPISODE40 デッド・オア・ライフ
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の温和な彼からは想像など微塵もできない姿に彼女は戸惑う。言葉で、ただ後姿だけでコレなのだから相対している片腕の女は相当なものだろう。
抑揚のない冷たい声に、セシリアはただ従うしかなかった。この光景を、どこかの小説で見た気がする・・・・ああ、そうだ。たしかこれは――――
(まるで、狂王の悲劇・・・・)
かつて存在したという人物の伝記だ。それを物語とし、何巻かにわたって販売された一時期話題となった作品で本国では彼の生涯をもじった映画も公開されたほどの人気作品。その主人公に、目の前の彼がダブって見えた。
「・・・・」
言葉を発することができず、ただ背中を見つめることしかできないでいると再びライの声が聞こえた。
『・・・・頼む。こんなことを、君たちに見せたくはない』
その声に、かつての笑顔の少年を思い出してようやく躰が動いた。パニックになっていたモニカもようやく冷静さを取り戻しつつあることにセシリアは彼女に促しシャルロットを丁寧に運びながらその場を離脱していく。離れ行く間際、拡大されたホロウィンドウに移る剣を握った手を見る。僅かに、震えていた。それに少なからず安堵しながら心の内で願う。
どうか、彼が彼らしくありますよう。
何故こんな願いをしたのか。それはセシリアもわからなかったがこんな姿を見たらそう願わずにはいられなかった。
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