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永遠の空〜失色の君〜
EPISODE40 デッド・オア・ライフ
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与える。まるで、王が家臣にするがごとく。

だが、それも信用ならない。血は止まったものの、いまだバイタルが安定しない。一刻も早く適切な処置が必要とされる中でふと、ライは自分の手につくぬめりとした生暖かい液体を見た。


血。生命の色。この世に存在するほとんどの生き物が流している生の証。それが本来の器から溢れる時は、人体になんらかの被害があった時のみ。そしてそのほとんどが表面を傷つけられた時が多い。

 頭が痛む。世界が変わる。気が付けば、そこは別世界だった。

雄叫びを上げる兵士。命の奪い合いをする中で、先頭に立って指揮するのは――――自分自身の姿だ。向かってくる敵を次から次へと切り伏せながら進むその姿はまさに鬼神がごとく。衣服は血により汚れ、辺りは命の抜け殻の山で埋め尽くされ地面も変色した血でおおわれ、空は本来の青を淀んで黒い。煙はあちこちから上がり、死臭をどこまでも運んでいく。これが・・・・自身の一番古い記憶。かつて置かれていた自分の世界。本来あるべき、そして存在しない世界。滅んだ世界。


(そうか、僕は――――)


そうやって、すべてを手に入れてすべてを失くした。仲間も、母も、たった一人の妹さえも。全てを自分の手で壊したんだ。

 世界が元に戻る。響くは笑い声と、戦闘が続いているであろう爆音。聞こえる笑い声の主をライは睨む。

憎い。許せない。なら、どうするか。


殺す。


ころす。



コロス。


「・・・・え?」


女の声が聞こえた。その時には機体を展開し、赤く輝く刀身の剣を手に駆け抜けていた。下を見れば切り飛ぶ女の片腕。まるで噴水のように散る血しぶきがシルエットとなり映し出されそれに歓喜を覚える。

手ごたえを確かに感じながらライは涙をぬぐうことすらせずにその顔を仮面で隠したまま振り返る。悲鳴か、はたまた断末魔か。どちらとも取れる叫びを聞きながら心のなかが満たされていくのを感じる。これだ、これが自分の本性だ。


「ライさん!」


レモンイエローとコバルトブルーの機体が駆けつける。片方は驚愕し、片方は目を見開き此方を見ている。惨劇ともいえるその光景を目の当たりにし、コバルトブルーの少女がこみ上げるものを堪えるように顔をしかめ、レモンイエローの少女が主へと寄る。何とか保てる僅かな理性という名の楔をしっかりと握りつつライは二人に指示する。


『彼女を連れて、安全な場所で治療を。生命維持を最大起動させてるけど、それもおうきゅうにしかなってない。だから・・・・はやく』

「ライさんは・・・・?」

『・・・・敵を、排除する』


言い知れぬ恐怖と冷たさにセシリアは戦慄する。これが人間の放つ狂気だというのなら、そうなのだろう。だが普段
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