EPISODE39 明日もし君が壊れても
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のような行動はしませんから」
柔らかく、いかにも女性らしい笑みを浮かべるモニカにセシリアは顔を赤らめて俯く。
「ど、どういう意味ですの?」
「それはご自分で確かめてはいかがですか?」
卑怯だ。そう言葉にせずセシリアは心の内で呟く。
その直後だった。更衣室が揺れたのは。
◇
人は気配のないものに対してはどうしようもなく反応が遅れる。それが一テンポ、そう違うだけで命取りになるとも知らずに穏やかな時間の中に身を浸すの何とも変えようのないもので。
要するに、奇襲という手段はいつの時代、どこの場所でも有効だということ。それを嫌というほど思い知ることにモニカは唇を噛んだ。現在学園は夏休みであり生徒も教員も人数は普段の半数以下となっている。帰国せずに残っている者ももちろんいるがそれはこの際考えないでおくとして自らが招いた失態が大きな穴となって自分の目の前に現れるのを彼女は手早くISスーツに身を包んで機体を展開しながら思考する。
「このタイミングで襲撃、警戒していたはずなのに・・・・!」
抜けきっていたわけではない。警戒はしていたし、このことは伝えてある。しかしそれは自分が絶対的な信頼を置くごく一部の人間のみ。この場合、ライ、真耶、千冬の三人がそれに該当するわけだが、それがモニカの招いた最大の失態だ。警戒するあまり、戦力と防衛を見誤るのは護衛役として失格以外何物でもない。
「これはいったいどういうことですの!?」
セシリアが機体を纏った状態で横に並ぶ。立ち込める煙は辺りを埋め、破壊された電気系統がバチバチと火花散らしながら室内の電力を漏らし、光を消す。頼りのハイパーセンサーはなんとか正常に作動しているようだがそのレーダーに機影と熱源をとらえることができないでいる。これは足止めか、はたまた本命か。判断を誤ればそれだけでジ・エンドとなる。
「説明している時間はありません。とにかくここを一刻も早く離脱して外へ――――」
機体が警鐘を鳴らす。直感で回避するとそこを銃弾が掠めて炸裂した。
「おのれ・・・・ヴィクトリア・クルシェフスキー!」
◇
遠く離れた母と娘。感動の再会にピッタリの言葉だが、それもこの状況ではなんの意味も持たない。此方に銃口を突きつけるは妖艶な笑みを浮かべる金髪の美女が纏うはデュノア社製の黒いリヴァイブ。装備も機体デザインも、どこかオリジナリティが見える辺りカスタム機と断定する。先ほど空で鳴り響いた爆音と殺意、そして狂気はたぶん彼女が発していたものだろう。おかげで姿が見えなくとも回避できたと安堵する。
「ライ、大丈夫!?」
プラ
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