EPISODE39 明日もし君が壊れても
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言葉を交わす。自然と、話題は彼女の主人であるシャルロットへと移っていた。小さい頃のこと、最近あった失敗談やちょっとした悩みなどその口が止まることはない。それほど彼女のことが好きなんだろう。その姿はまるで想い人のことを話す恋い焦がれる少女のよう。
つい最近まで、自分もこうだったのかと思うとだいぶ変わったんだなと実感する。
「・・・・と、すみません。長々と私だけ・・・・」
「いいえ、大丈夫です。私もシャルロットさんの以外な一面を知れましたから」
小悪魔的な笑みは絶対に後で話のネタにする気だと確信するには十分なものだった。改めて、このセシリア・オルコットという少女は策士だと思う。
「ところで、セシリアさん」
「はい?」
「・・・・一週間前のあなたとライさんの関係についての変化ですが、なにかあったのですか?」
「・・・・」
黙り込むセシリア。その横顔には笑顔など微塵もないことにモニカの疑問は確信へと変わる。やはり何かあると踏んだモニカはそれ以降言葉を続けることはなくセシリアの返事を待つ。
シャワーの滴る音だけが、更衣室に響く。
「・・・・モニカさんは」
「、?」
「大切な人を、手放してはいけませんよ?」
答えになっていない。欲しているのは二人の関係のことなのにこのごまかし方は逆に新しいと軽く感心してしまいポカンとなる。
ただ・・・・ただ、その笑顔が酷く悲しいものに見えたのは、間違いなかったはずだ。頬を伝う滴が涙かシャワーによるものかは知る由もないが、モニカはその笑顔に反発をおぼえる。
だからこそ、言う。
「私は手放す気は毛頭ありません。ただ、逃げたくないんです。目の前の現実から」
「お強いのですね、モニカさんは」
「いいえ、貴女に教わったものです」
「はい?」
「申し訳ありませんが、今日の貴女の射撃風景を拝見させていただきました。精密さ、俊敏さ、柔軟さ、どれをとっても文句なしのスナイパーです。しかし、私が感心したのはそこではありません。貴女が放つ強い意志、闘志にも似たものです。それを見て、私は気づかされました。・・・・なにがあっても、大切なものは自分の手で守り通す。例えすべてを引き換えにしても。そんな気迫が感じられたんです」
少し、照れくさい。ここまで面と向かって褒めてくれたのは彼女で二人目だ。
「ですから、そんなこと言わないでください。もう貴女とライさんの間に何があったのかは訊きません。ですが、これだけは言わせてください」
まっすぐに、緑色の瞳が此方を見てくる。それは射抜くように鋭く、鋭利だった。
「貴女のこと、きっとあの方は今でも大切に想っています。でなければ、あ
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