EPISODE38 約束
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人並み以上に強いタイプだ。
思考を切る。用心するに越したことはないが、それをやりすぎていざという時に動けないのではもともこもない。だから今日は自主訓練を少量にし、本をパタリと閉じて部屋をでる。真耶には「何かあったら必ず連絡を取り合こと」と取決めをしているので何かあればすぐに携帯で連絡するよう手配されている。
・・・・その際、アドレスと番号を交換したときになぜかあの不気味な笑いを浮かべていたのが非常に気になるところだがここはあえてスルーしておこう。
とりあえず、部屋を出る。特に行くあてもなくうろうろとする。こうして散歩するの初めてなので少し心が浮つく。いつもとは違った風景に新鮮さを感じつつ、後ろから声をかけられたことに振り返ると金髪の髪をリボンで結んだ私服姿のシャルロットがいた。夏休み中は学園内であっても私服が認められるため割りとラフな格好でも違和感はないが、学園という場所がそうさせるのかあまり違和感がないということはなく逆に少し目立って見える。
「散歩?」
「ああ。そっちは?」
「僕は買い物から帰ってきたところ。ね、ボクも一緒にいいかな?」
「もちろん」
シャルロットとともにあてもなくふらふらと学園ないを歩く。時間も、風の流れも普段とは違う。なんだか不思議な気持ちになりながら足は自然と屋上へと向いていた。
ここからは景色が一番良く見える。遥か彼方へと続く水平線に美しい二つの青とその間を揺蕩う白い雲。吹き抜ける風が汗を攫って涼を運ぶのを全身で感じながら肺いっぱいに空気を入れると次に吐き出すという行動をシャルロットは数回繰り返す。
「今まであんまり気にしたことなかったけど、ここはいい眺めだね。夕焼けとかオツキミとか綺麗だろうな〜」
「二年の黛先輩も言ってた。ここはいい画が撮れるって」
「・・・・こんな景色を、母さんにも見せてあげたかった」
それは生みの親に言っているのか。それともヴィクトリアに言っているのか。まあ彼女ならたぶん半分だろうと思う。どんな境遇に立たされても親子というつながりを持っている彼女は幾度となく話し合いによる解決をしたいと話していた。誰だって、家族と殺し合いになるかもしれないと言われて穏やかでいられる者などいない。ここ数日は気も休まらなかったであろうことにライは少し悲しく思った。
「僕には、家族がいない。いたかどうかも、わからない。でも、シャルロットの気持ちはよくわかるよ。誰だって、戦いたくなんかないさ」
「・・・・でも、ボクはやるよ。それがボクのやるべきことなら」
やるべきこと、か。こんなことがやるべきことだったとしたら、この世界は相当――――腐っている。
「ね、ライ。この件が無事に終わって、まだボクがここにいるこ
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