EPISODE37 姉妹
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実かどうかは不明です。シャルロット様にも少なからず危険が…」
「この学園に侵入してくる、と?」
モニカが頷き言葉を紡ぐ。
「・・・・私は彼女の娘です。ですがそれ以前に私はあの方の姉妹です。シャルロット様を――――あの子を護れないのなら、私に存在する意味はありません」
存在する意味はないとハッキリ言いきるモニカ。それほどまでに彼女にとってのシャルロット・デュノアという存在は大きく絶対的なものなのだろう。モニカ・クルシェフスキーという女の子は少なからず淑女で、慈しみがあり、それでいて凛としている。何ものにもとらわれず自らの考えをしっかりと持ちそれを実行する強い信念を持った子だ。そんな彼女が今内に秘める物はたった一つ。
愛する妹を、守ること。ただそれだけだ。
「・・・・本当に、来るだろうか」
「来ます。必ず、ヴィクトリアは此処へ」
この学園のセキュリティレベルは世界トップクラスを誇る。ましてや許可さえあれば出撃可能な教師陣のISはどれも量産機とはいえパイロットはかなりの人材。そうでなくとも此処にはブリュンヒルデという大きな抑止力もある。それに靡かないだけの力と策略があってのことなんだろうが、それでもあまり信じたくはない可能性でもある。特に、それが実行された場合に出る被害や波は相当なものだ。国家レベルでの法律違反に偽造行為、デュノア社に信用問題はもちろんのこと、全てが丸く収まるとは考えにくい。
そうなった場合、それを背負って風下に立つのはシャルロットだ。彼女はその後のものも全て背負わなければならない。そんな覚悟がいったいいつできようか。そう考えたところで、ライは今朝の彼女を思い出して納得する。あの急なカミングアウトはこの事の現れだったのかと合点がいった時ライはモニカに振り返る。始めて視界に収めたレモンイエローの髪をなびかせる少女は普段の雰囲気とは反対に小さく小刻みにその手を震わせていた。その震えをなんとかして鎮めようと握りしめる片方の腕の力で制服に皺がよる。覚悟はできていると言っても相手は実の母親。モニカにとっては相当な覚悟と想いがあってのことだろう。
誰にだって、仕方がないからと言って割り切れるものとすでないものくらいある。“自分がそうであるように”。
「・・・・僕も全力で協力する。できる限り穏便にいくようにもね。でも、もしもの時は・・・・」
「・・・・ええ。わかっています。その時は、ヴィクトリアを――――母を殺すつもりです」
守る為に、斬り捨てる。それがたとえ実の母親だったしても、たった一つの笑顔を護る為にならこの手を汚すことも厭わない。あの子が笑っていられる世界を護れるのなら、それでいい。モニカを熱い使命感が満たす。
一方、ライは自分の言葉をつづけた
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