EPISODE34 血の繋がり
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知ってるはず。自分の記憶を取り戻す大きな一歩になるかもしれないと期待を大きく膨らませる。
通されたのはブリーフィングルームとも言うべき場所。そこには自分とセシリアとシェリン以外はおらず厳重におとが漏れぬようロックなどをかける。「さて」とシェリンがさっそく説明に入ると部屋が暗くなりホロウィンドウが投影される。それを物差し棒でつつきながらさながら教師のように説明する。
「まず、あなたの血筋について。これははっきり言ってあなたは純粋な日本人ともいえるし、そうでないとも言える」
「・・・・と、言うと?」
血が混ざっている――――つまりはハーフである可能性がある。だがこの純粋な日本人というのがどうも引っかかる。だからわからない。
「詳しく説明するわね?あなたには普通の人には見られない大きな違いがあるの。筋組織、脳の電気信号伝達、つまりは情報処理速度が異常に速いのよ。それも、かなりの数値でね。これはもう普通の人間って域を超えているわ。おそらく初見でティアーズの変則攻撃を見切ったのもそれが原因ね。あとはあなたの戦闘データ。悪いけど参考に見させてもらったけどあなた本当に何者?」
「何者と言われても僕は何も言えないんですが・・・・」
「それもそうね。でも本当に目を見張るものばかりだわ。ティアーズの狙撃から回避までのごく僅かな動き、そして迎撃。とても素人が覚えたてでできるような動きではないし、もしかしたらあなたどこかの軍隊の研究機関に所属していた可能性が高いわね」
それは正解だと内心感心する。これだけの情報でそこまでわからうとはイギリスの研究機関はたいしてものだと思う。
「と、まあ可能性はそれくらいにして。いよいよ本格的な話に入るけど・・・・研究者としてこういうことはあまり言いたくはないのだけれどあなたの躰はありえないことだらけなのよ。まずは血筋。これはさっきも言った通り、純粋な日本人とは言い難いのはあなたの血、半分イギリスのものが入ってるのよ。それもかなり高貴な、ね。でもそれはとうの昔に途絶えてるはずの物なのよ。もう半分もどっかの貴族の可能性が高いわね。しかもこれもかなりの名家。謎だらけよね〜、実に興味深いわ」
テンションが上がるシェリン。言われた事実と結果に驚愕とするセシリアとライ。何も言えない二人はただ互いを見つめた。
◇
「ハーフ・・・・でしたのね」
「ああ。僕自身、かなり驚いている」
貴族、しかもハーフ。それでいて名家。それが嬉しくてセシリアは自然と頬を綻ばせる。些か不謹慎かとも思うが、それでも嬉しいのは仕方ない。
想い人が、自分と同じ。そう考えるだけで、テンションも上がる。
「どうかしたのか?」
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