EPISODE33 帰還
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「じゃ、帰ろっか」
誰かがそう呟いた。それは口調からして鈴か、一夏か、はたまたシャルロットか。それすらも今のライにはわからなかった。落下した無人島から覗くことのできる朝日はどこまでも眩しくて暖かくて、一刻の戦いの終焉を告げる。どうやら夜通し戦っていたようで疲労が躰に蓄積されすぎて今にもあふれ出しそうな気さえしてくる。
一夏が福音のパイロットを抱き上げ、その後にみんなが続いていく。飛んで行けるだけのエネルギーが残っているだけラッキーと思った方がいいだろう。エナジーウィングを展開し、自分も空へと上がる。
視界が、ぶれた。
まだだ。こんなところで意識を失ったらそれこそアウトだと叱咤して躰を制御する。大丈夫、まだいけると言いきかせながらこの機体が全身装甲(フルスキン)であることに心底よかったと思う。
[だいぶ無茶をしたな。ギアスの使用にクラブTの起動と戦闘・・・・]
『これくらいどうということはない・・・・』
[強がるな。あとは私が上手いことやっておくからお前は休んでろ]
ハイパーセンサに操縦権譲渡・オートパイロットに変更とでる。こんなこともできるとはなかなかに便利だなと思いながらライは意識を手放した。
◇
意識が浮上してくる。感覚が頭の天辺から足の先までに神経を伝い脳が電気信号を送っていく、腕、脚、五体満足であることに安堵して今度は後頭部にある違和感に気づく。朧げな視界のなかで、ライは緑色の髪を見て呟く。
「C.C.・・・・?」
「しーつー?なんですかそれ?もしかいて、ねぼけてるんですか?」
クスクスと笑う声で彼女ではないことを理解する。ようやく視界がまともになった頃に見えたのは、緑のショートカットと眼鏡の容姿が二つの“山”に遮られながらもギリギリ見える。ISスーツに身を包んでいる辺りきっと出撃準備をしていたのだろう。そのことからやはりあの時の判断は正しかったんだと思うと同時に“嘘をついたこの人に申し訳ないと思う”。
「真耶先生…僕は――――」
「あ、動かないでください。意識が目覚めたばかりで躰が言うことを訊きませんから」
彼女の言うとおり躰にうまく力が入らない。これほどまでに疲労していたのかとそれなら仕方なく彼女の言葉に甘えることとする。
「私の膝で申し訳ありませんが・・・・少しのあいだ我慢してくださいね」
優しく撫でられることに少しのくすぐったさを感じながらも聞こえてきた声に意識を向ける。どうやら無断で出撃した一夏達が怒られているらしい。そういえば自分も色々と命令違反したような気がするがあそこにいなくてよいのだろうかと多少疑問を持ちつつうまく働かない思考が次に捉えたのは先ほど呟いた名前の少
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