EPISODE31 蒼と白
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が離れたと同時に発射に指示を出す、脳内の電気信号をキャッチしたシステムがトリガーをひき、見えない弾丸を発射。箒の両脇を通り過ぎ、敵機を撃ち飛ばす。バランスを崩した機体が気流に煽られてクルクルと複雑に回転しながら落ちていくのを見逃すまいと箒が二対の刀を手に急降下。海面すれすれでバランスを驚異的な体幹で立て直した福音をみて柄にもなく「マジか」と呟く。ほぼ人間の常識を無視したかのような動きは身近にそれをさも当たり前にやる人物がいるので驚きはしないつもりだったがやはりいつみてもこの光景は異常だ、と箒は思う。
やがてエンカウントして紅と白が海面すれすれを飛びながら力を拮抗させて上昇。組みついて離れない箒に福音が出した決断は零距離での殲滅砲撃。大ダメージ覚悟の上での攻撃の為翼の一部を広げ光が満ちていくのを見ても尚食いついて離さない。
「世話がやけますわね!」
「さらせない!」
レモンイエローのリヴァイブとブルーティアーズの精密射撃が福音の攻撃を阻止。射抜かれた部分が黒い煙を上げるのを見て箒はニヤリと口角を釣り上げると同時に渾身の力を込めて刀を振るう。翼の一対を切り落とすことに成功し、これが限界かと離れようと蹴りを入れる。
しかし、その足が掴まれた。嫌な悪寒が躰を駆ける。
歌うような、叫ぶような、怒号のような音が鳴る。腕の砲門に光が満る。
援護
無理だ
回避
間に合わない
死―――――その言葉が頭をよぎった次の瞬間。その腕を一筋の光が貫いた。セシリアよりも正確に、モニカよりも鋭く射抜いた矢はこの中の誰の物でもない。援軍かと思った次の瞬間には目の前を今度は蒼い風が駆け抜け福音を蹴り飛ばす。再びバランスを崩し落ちていく福音はまた海面すれすれで体勢を立て直して此方を見上げてくる。
現れたのは光の粒子を散らしながら目の前に浮かぶ二枚の蒼い光の翼。白と蒼のコントラストに特徴的な全身装甲と額から伸びる角のようなアンテナ。腕から伸びる爪のようなパーツやグリップしている二丁の形の異なる銃など違うところはあるものの、全体的なフォルムは見間違うはずもないシルエット。
おそらく、学年最強と言って過言ではないその実力を持つ彼は、外見からは想像もつかない位優しい声色で此方に声をかける。
『箒、大丈夫?』
「ライ・・・・?」
よく知った声に箒は名前を呼ぶ。振り返りはしないが頷く動作をみて安堵し笑みがこぼれる。
「ライさん、御体の方はよろしいんですの?」
セシリアが寄ってくる。それに大丈夫と返して此方に再び砲門を向けてくる福音を見て二人の前へと出る。互いに翼を展開させ、放ったのは同じ殲滅砲撃。翼から散る蒼と銀の光が空中でぶつかり合って美しい
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