EPISODE30 ライ−liar−
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ボク達に対して壁作ってさ。どうしてそう遠慮がちなの?」
言われても言えないことが多すぎる。ラウラや千冬ならともかく、こんなことは知るべきではない。だから――――
「実はクラブの調子が悪くって。どうやってもうんともすんとも言わなくって。学園の整備班もお手上げみたいで徹夜続きだったからかな」
「・・・・え、それで悩んでて挙句倒れたってこと?」
「こればかりは相談してもどうにもならなさそうだったから。頼らなかったというより、頼れなかったんだ。自分の機体のことだったから」
嘘をつく。しかもかなり苦しい嘘。これで理解されるとは思えない。自分でも何言ってるんだと情けなく思う。でも今はまともに思考が働かないこの状況でそれが精一杯だった。
さて、この少女はどう言葉を紡ぐのか。それを待っていると突然襖が開かれ金髪の少女が二人入ってきた。セシリアとモニカだ。
「ライさん、お加減はどうですか?」
「まだ少し頭がボーっとするけどそれ以外は問題ないよ。今日は確かISの――――」
「織斑先生からの言伝です。“たまには躰と頭を休めることもしろ馬鹿者”だそうです。本日のスケジュールは私達だけでの進行になりますのでどうかゆっくりお休みください」
・・・・さすがは織斑先生、といったところか。ほぼお見通しとは恐れ入る。
「了解。それなら僕はここにいることにするよ」
「そうしてください。あなたに何かあったらシャルル様が――――」
「わ〜わ〜わ〜!!」
「シャルルさん、病室で騒ぐのは品格を疑われましてよ?」
顔を真っ赤にするシャルロット。ジト目で見るセシリア。からかうような、小悪魔てき笑みを浮かべるモニカ。
いつもの光景だ。何一つ変わらない。ここが今僕がいる世界だ。
「そういうことですから、ライさんはお休みを。さ、シャルル様。お時間です」
「む〜・・・・ライ、なにかあったらいつでもボク達を呼んでね?すぐに飛んでくるから」
「私もですわ。ライさん、お大事になさってくらださいね」
「ああ。ありがとう」
退室したことを確認して、モニタを展開させる。クラブのデータを見つつやはり目にとまるのはコアへの異常。これだけが頭に引っかかって離れない。これは早急に束さんに連絡すべきなのだが昨日の電話以来まるで出ない。多分、箒のことでいっぱいいっぱいなんだろうなと思うと何故か箒に木刀で殴られる束の姿がうかんで苦笑する。
「セカンド・シフト・・・・」
呟いてこみ上げてきた睡魔に身をゆだねることにする。ああ、またあの空間へ行かなければならないのか・・・・。
憂鬱な気分になりながらも、ライは意識を手放した。
◇
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