EPISODE28 君と僕
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「――――記憶、戻りそうか?」
ベンチに腰掛けて女子組の水着選びが終わるのを待つ間、一夏にそんなことを言われた。記憶に関しては実に曖昧なことばかりで正直戻ったは言い難い。だから首を振ることでそでに応えると彼からため息が返ってくるのを聞いて苦笑いを浮かべる。
「そっか・・・・やっぱそう簡単には行かないか〜」
うな垂れる一夏。彼は本当に他人ごとなのにも関わらずまるで自分のことのように悩んでくれる。こんな風に度々話したりもするが、いつもこんな感じで僕と一緒に頭を抱えてくれる。学園では二人しかいない男子という肩書を抜きにしても、一夏とはいい友達だ。なんでも話せるし、なんでもできそうな気さえしてくる。なんというか・・・・そう、波長が合うということだろう。他のみんなとチームを組んだ時も成績上はラウラかモニカだけどやってる内は一夏との方がどこか心にゆとりがある感じがある。今こうしてただ座って会話しているだけだと言うのに得体のしれない安心感があるのは、彼が持つ独特の抱擁感ゆえかどうかはさだかではないが、話していると安心するのは確かだ。
でも、そんな一夏であっても記憶のことを話すわけにはいかない。これは僕とラウラだけの秘密であり・・・・僕が背負わなければならない罪でもある。僕のせいでその存在を歪められてしまったラウラや黒兎隊の人たちの分まで、僕がやらなきゃいけないことだから。それをなんの関係のない一夏やほかのみんなまで巻き込むわけにはいかない。
だからこそ僕は嘘をつく。
「きっとそのうち戻る時がくるさ。そう落胆することじゃないよ」
「けどさぁ・・・・俺だったら、悲しいな」
「なんで?」
「だって、大切な人達の顔も声も思い出せないだろ?思い出だって、同じだし。だから・・・・悲しいかなって」
思い出・・・・。過去のない僕に想いではない。というより、こんな記憶しかない僕には思い出もなにもない。ただ生み出され、利用され、捨てられただけの人生だった。そしてその結果がラウラで、彼女も僕がいなければきっと普通に生まれて、普通の女の子として暮らしていたはずだから。
でも、思い出・・・・そうだとしたら、あの時の光景はなんだろう?
折り紙、小さな女の子、いつか見た風景、そして――――死体の山と・・・・あの声。明らかに僕の知っている“記憶”とは違う。じゃあ、これらの欠片は一体――――
「・・・・もし」
「ん?」
「もし、記憶が戻って僕が君たちに危害を加えるような存在だったらその時は君の手で僕を殺してほしい」
「・・・・いきなりとんでもないこと言うのな」
「・・・・ま、もしも万が一僕がそうだった時はだけどね」
そうやっておどけて見せようとするもどうしていいかわ
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