EPISODE23 片鱗
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「・・・・っ!」
昼休み。廊下を歩いていたらいきなり頭痛に見舞われて頭を抱える。身に覚えのない痛みに混乱しながらも僕の意識は突如遥か彼方へといざなわれた。
頭上にはいつもとは違う曇天。眼下には破壊された建物と、山のように倒れている人間の躰。感じるのは焦げ臭い火薬と血の生臭さ。積み上げられた死体はさっきまで生きていた命の抜け殻たち。どれもこれも見覚えのないものばかりだ。
(これは・・・・僕の記憶なのか?)
背景がこの世界とは少し異なる。これはいったいなんだ・・・・?
――――――これはおまえ自身の過去。そのうちの一つだ。
「誰だ!?」
急に話しかけられて振り返る。人の気配はないものの、たしかになにかいる感じはある。えたいのしれない出来事に困惑しつつ危機的状況に対処できるよう、神経を張り巡らせる。
頭の痛みはいつの間にか消えていた。
――――――ようやく私の声が聞こえたか。強情だな。
「その声・・・・セシリア?」
――――――なんだそいつは?それよりも、面白いものが見れるぞ?
「面白いもの・・・・?」
いつもと雰囲気の違うセシリアの声に違和感を抱きながらも言われた言葉に少しの寒気を感じる。僕の中の何かが警報を鳴らした。
「いた、ライ!」
シャルルだ。なにやら血相を変えて走ってきているのを見る限りよほどの用事なんだろう。ただ事ではなさそうだ。
「大変だよ!アリーナで鈴とセシリアが・・・・!」
「セシリア?彼女ならさっきまで僕と通信で・・・・」
「え?そんなはずないよ。だって今アリーナで戦闘してたし、そんな余裕ない・・・って、こんなことしてる場合じゃないんだ!とにかく来て!」
シャルルに手を引かれて速足にアリーナへ向かう。この急ぎよう・・・・どうやらかなりの緊急事態になようだ。
◇
アリーナの内部は殺伐とした空気に包まれていた。見守る生徒達からは不安と恐怖の色がうかがえる。
戦っているのはセシリアと鈴。観戦している箒と一夏に並び、その様子を見る。
「ライ!」
「一夏、これはいったい・・・・」
「わかんねぇ。俺もさっき箒につれてこられて・・・・」
その時、ひときは大きい音が鳴った。何かが折れるような、砕けるような音。
「鈴!!」
箒の声は悲鳴のようにとがる。双天牙月が折れ、ラウラのプラズマ手刀が装甲を破壊する。
*
状況:僚機“甲龍”ダメージレベルC
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