EPISODE21 経緯
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。それにおし負けたモニカはため息をしてシャルルはそれにまた苦笑い。
一つ深呼吸をしたのち、シャルルが笑んだ。その笑みは儚く――――――悲しそうだったのを、いまでもよく覚えている。
彼女の本当の名前はシャルロット・デュノア。デュノア社の社長ドゴール・デュノアの実子だが、愛人との間に生まれため、2年前に母親が死亡しデュノア家に引き取られたものの事実上居場所がなかった。その後、たまたまIS適性が高いことが判明したことから、自分の意志と関係なくIS開発のための道具として扱われてきた。モニカとはその時に知り合い、姉妹のように育ってきたという。学園に来たのは一夏の“白式”のデータを盗る為と、経営不振に陥った会社を立て直す為の広告塔としてだそうだ。
だが、これはあくまでも表向きだということらしい。
「私は・・・・ドゴール氏と現在の妻であるヴィクトリア氏の子なんです」
「ということは、二人は血筋だけで見れば本当の姉妹か」
「うん。でも、問題はそこじゃないんだ」
再び、今度はシャルロットに変わりモニカが続ける。
ドゴール氏は本来デュノアの人間ではなく、婿養子として入ってきたという。ヴィクトリアは彼の優秀な頭脳に惚れこんだ社長が差し向けたもので、構成事実を作り強制的に結婚させられたらしい。その為シャルロットの母親は愛人扱いされ社内をおわれ、彼女が生まれた。
ヴィクトリアからしてみれば、娘であるシャルロットも気に入らない。ISが発表されてからは彼女が話した通り、道具のように扱われていたらしい。そしてモニカは母のやり方が気に入らず、ドゴール氏と共にシャルロットを守る為に自らを彼女の護衛兼世話役に申し出たらしい。適正もシャルロットの方が高いためヴィクトリアはそれを承諾、そして現在に至るらしい。
「・・・・はぁ。なんだかすっきりした」
本当に、肩の荷が下りたかのように息をつくシャルロット。不安げになりながらも、少し安堵したようでモニカも少し疲れたような笑みをうかべた。
だが、これからが大変だ。僕が黙っていればいいだけのことだが、これがもしバレるようなことがあれば二人はただでは済まないだろう。事実情、デュノア社の権利のほとんどはヴィクトリアが握っている。公表されて自分の立場が悪くなるようなことがあれば即排除、つまりは――――――暗殺。大袈裟かもしれないが、可能性は少なくない。
笑顔で話すシャルロットとモニカ。僕の予測した通りのことがもし起こるのであれば、今こうして笑い合っているふたりからこんな些細な時間さえなくなる。そんなことは、あってはならない。
「・・・・二人は、これからどうするつもりなんだ?」
「・・・・よくて牢獄行き、かな」
「でも、それはこの学園からでたら
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