第二話 大角少佐!!柔の道の奥義を見よ!その二
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「そうでごわすか、大久保少佐は無事でごわすか」
「はい、傷は深いですが」
「致命傷ではありませぬ」
「今は入院していますが」
「必ずや完治します」
「わかり申した」
西郷は二人の言葉を聞き静かに述べた。
「では今は休んでもらいもっそ」
「そうして身体を癒し」
「そのうえで」
「また仕事に励んでもらうでごわす」
そうしてもらうというのだ。
「是非共」
「では大久保少佐は」
「お咎めは」
「そんなことをすることはないでごわす」
全く、という口調での返事だった。
「大久保少佐は正々堂々と戦い日帝衆の誇りを見せてくれたでごわす」
「敗れたのは敵の騙し討ち故」
「人工衛星によるものだと」
「勝敗は戦の常でごわす」
こうも言う西郷だった。
「しかし卑怯卑劣をしないことは」
「そのことはですか」
「勝敗以上のものがあると」
「その通りでごわす」
まさにというのだ。
「若し大久保少佐が卑怯卑劣をしていればおいどんも許さなかったでごわす」
「しかしそうではありませんでした」
「少佐はあくまで正々堂々としていました」
大村と桂はこのことを保障した。
「武人、剣道家、日帝衆の者として」
「あくまで」
「それならいいでごわす、それでは」
「はい、では」
「我等も」
「おのおのの仕事に戻ってもらうでごわす」
二人に確かな声で告げた、そしてだった。
陸軍衆を束ねる二人は西郷の前から去り彼等の仕事に戻った、西郷は彼等を温かい目で見送りそれからだった。
傍にある電話、古風な明治期のそれを手に取りそこでだった。
「いいでごわすか」
「はい」
「海軍衆につないで欲しいでごわす」
「よござんす」
電話の向こうの交換手が応えてだ、そのうえで。
西郷は彼等に連絡をした、そしてだった。
日露戦争の頃の帝国海軍士官の軍服を着た初老の男達が入って来た、二人共まさに海の武人という見事に日に焼けた精悍な顔をしている。
その彼等が西郷の前に着て深々と頭を下げて挨拶をしてきた。
「山本、ここに」
「東郷参上しました」
「よく来てくれたでごわす」
西郷は彼等にも礼儀正しく応える。
「それでは単刀直入にでごわすか」
「次はですか」
「我等ですか」
「海軍衆にお願いしもっそ」
こう澄んだその目で言うのだった。
「出来るでもっそか」
「はい、我々はです」
「今既に作戦を実行させています」
山本と東郷はそれぞれ西郷に答えた。
「鈴木辰雄少佐がです」
「今子供達を教えてくれています」
「鈴木少佐でごわすか」
その名前を聞いてだ、西郷は瞑目しそのうえでこう言った。
「柔道の達人でごわしたな」
「はい、柔道十段です」
「海軍衆随一の柔道家です」
「その鈴木少佐が
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