MR編
百三十六話 強行突破
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と言うのか……本当なら、自分だけでも彼の隣に……そう思ったとたん、突然、アスナの隣からいやに面白がるような声がした。
「まぁそう悲壮感のある顔しなさんな。騎士姫さんよ」
「わっ!?リ、リョウ……」
隣に立っていたのは、いつものようにニヤリと笑ったリョウだった。冷裂を持ったままアスナの隣に立ち、前方集団を見据えている。
「リョウ、向こうは?」
「あ?あぁ、打ち合わせでな。俺はお前らの突破の手伝いだ」
「で、でも後ろキリト君とレコン君の二人だけじゃ……!」
援軍として来た三人の中で、最も範囲殲滅力に優れているのは間違いなく最大の攻撃力と攻撃範囲を持つリョウだ。その彼をわざわざ前方突破に付けたら、ますますキリト達は苦しくなる。
「いやいや、今の彼奴なら問題ねぇよ」
「問題無いって……」
「……お前、さっきこっち向いた時、彼奴の顔見たか?」
「え?」
先程と言うと、此方に頷いた時だろうか、一瞬だったので、よく見えなかったが……
「忘れてやんなよアスナ。彼奴、お前を背中か隣に置いてる時は……すげぇ本気な顔してんだぜ?」
「…………!」
無意識に顔が少し朱くなるのが、自分でも分かった。
其れと同時に、後方から涼やかな音がする。
『あぁ……』
いつの間にか後ろにいるキリトの背には、二本目の鞘が装備されていた。其処に収められた金色の柄を彼は手に取ると、一気に其れを引き抜く。
皆が協力してスリュムヘイムへと潜りようやく手に入れたこの世界で最強を誇る伝説級武器……《聖剣エクスキャリバー》
その剣を携え、滅多に見せる事の無い二刀を装備した彼の背中は、この世界の誰よりも、何よりも頼もしく見えた。
その圧倒的な威圧感は後方の集団にも伝わったらしく、ジリ……と音を立てて彼等が後ずさる……と同時に……
「うおりゃああ!!」
「着いた着いたー!」
「はぁ……」
「遅くなりました」
後方集団の更に向こうから、聞きなれた声がした。突然の登場に後方集団のメンバーも動揺し、何人かがスペル詠唱を止めてしまったようだ。
後方集団のお陰で見えないが、その声だけでアスナは向こうに現れた人物達の正体を悟る。
「お、やっと来たか彼奴等」
「もしかして、リョウが呼んだの……?」
「ん?おう、そりゃお前、あのメンバー全員と共通点が案のは俺くらいだろ?特にヒョウセツとなんて、お前らあんまり接点ねーじゃん」
そう、後方に現れたのは、クラインに続き、アイリ、アウィン、ヒョウセツと言う、なんとも妙な……それでいて、全員が一人の青年を共通点として終結出来るメンバーだった。
その仕掛け人であるリョウは、アスナ横で再びニヤリと笑うと、冷裂を担ぎ直す。
「さて、これで後顧の憂いは消えたろ?」
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