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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十六話 強行突破
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方全ての部隊が二歩ほど後退し、黒衣の少年が言った。

「悪いな、此処は通行止めだ」

────

回廊に響き渡った声が全員を絶句させた後、たっぷり5秒置いて、前方の部隊を指揮していたサラマンダーだった。未だに信じがたい物を見るような顔をしつつも、やや落ちつきを取り戻したような口調で言う。

「おいおい……アンタらがつえーってのは分かるがよ……流石に人数差的に無理じゃねぇ?」
「いやあ、どうかな。まあ、取りあえず試してみれば分かるんじゃないか?」
「いや無理だと思うんですけどぉ……」
サラマンダーの言葉に不敵な笑みで答えたスプリガンの少年……キリトの言葉に、彼の後ろで風妖精(シルフ)の少年……レコンが、泣きそうな声で言った。実際の所、表情も今すぐに泣く五秒前だ。
登場はかっこよかったのになぁ。とアスナが苦笑気味に思って居ると、その緩んだ雰囲気を少し締めるように張った声で、サラマンダーが言った。

「はは、そりゃあそうだ。んじゃ数の暴力をプレゼントだ。メイジ隊、やれ」
パチンッ、と彼の指がなる。すると、後方に待機していたメイジ部隊が、一斉に詠唱を始めたのがアスナにも分かった。
反応といい、詠唱の速度、滑らかさと言い、やはり現行最高難度のALOボスに挑もうと言うパーティーなだけあって、相当な錬度を誇るらしい。一瞬、アスナも展開していた腰の剣を抜いて手助けをしたい衝動に駆られたが、前方に居るメンバーが少しでも此方が動けば突撃してきそうな気配を滲ませている為に、動く事が出来ないで居る。
と、不意に少しだけ、キリトが此方を見たのが分かった。少しだけ見せた不敵な笑顔。彼にとっての兄にもよく似た其れを一目見て、アスナは察した。

「っ……」
「ユウキ、平気だよ」
「えっ?で、でも……」
「大丈夫。キリト君達なら……」
言い終わるよりも早く、一斉に発射された七つの魔法弾が火線を引きながら空中に伸び上がる。後方集団の頭上を越えた魔法弾の群れは、一斉にキリト達目がけて殺到し……

「キリト、行けるか?」
「あぁ」
青年……リョウがそう言うのと同時に、キリトが突き刺さった長剣(ロングソード)を引き抜き右肩に担ぐように構えた。燃えるような深紅のライトエフェクトが剣に宿り、上位ソードスキルの発動を告げる。既に回避も出来ない状況下で、剣を構えて何のつもりなのかと、その場にいたほぼ全員が疑問の表情と共に彼を見た。そして次の瞬間……その疑問を持った全員が、表情を驚愕へと変えた。

閃光と轟音が辺りを満たした後、キリトやリョウ、レコンのHPは1ドットたりとも減ってはいなかった。何故なら打ち出された魔法の全ては、着弾する事無く空中で四散……より正確には、キリトによって“切り裂かれた”からだ。

「うっ……そぉ……」
超速の剣技を誇る
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