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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十八話 繁栄と未来
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は誰でも褒められれば、認められれば嬉しいものです。政治家はそういう人間の特性を無視するべきでは有りません。それを認め、受け入れ、積極的に利用するべきです」
議会にまた笑い声が上がった。好意的な笑い声だ、“俺も勲章が欲しいぞ”と声が上がるとさらに笑い声が大きくなった。
「ここに提案します。国家として功労者を讃える事とは別に人類全体の視点から見てその繁栄と進歩にもっとも顕著な功績を上げた人物を讃える賞を我々は創るべきではないでしょうか」
どよめきが起こった。フッフッフッ、この世界のノーベル賞だ。平和になるんだ、そういうのが有ってもいいよな。
「その賞の決定機関をイゼルローン国際協力都市に置き選考委員は同盟、帝国、フェザーンから選出します。そして年に一度受賞者を選びその功績を讃え報奨金を与えるのです。もちろん、報奨金は同盟、帝国、フェザーンの三カ国が用意します」
あっちこっちでざわめきが起きていた。そして何人もの議員が頷いている、良い感触だ。
「いつの日か、この賞を受賞する事が科学者として、文学者として、或いは医学者、政治家として最大の名誉であるという日が来るでしょう。そして今日、この日に、その賞が産声を上げたという事を多くの人が記憶するに違いありません」
“そうだ”、“創るべきだ”、そんな野次が上がった。興奮し始めたな。
「議員諸兄、私の考えに賛同いただけるのであれば起立の上拍手をしていただきたい。そして銀河帝国、フェザーンへの呼びかけと実現を我らが国家元首、ヨブ・トリューニヒト最高評議会議長に御願いしようでは有りませんか」
議員達が立ち上がって拍手を始めた。議員だけじゃない、委員長達も皆拍手をしている。うん、俺って良い扇動政治家になれそう。
トリューニヒトが席を立って満面の笑みを浮かべながら答弁席に近付いてきた。幾分頬が上気している、興奮しているようだ。当然だが俺は席を譲って拍手をしながらトリューニヒトを迎えた。“議員諸君”、トリューニヒトが呼びかけると拍手が止んだ。
「ヴァレンシュタイン委員長の素晴らしい提案に賛同してくれた事を先ず感謝する。そして私に素晴らしい仕事を与えてくれた事にも感謝だ。これほどの名誉は無い、喜んで務めさせてもらおう」
拍手が湧き上がった。彼方此方から“頼むぞ”、“頑張ってくれ”と声が上がった。トリューニヒトが右手を上げると拍手が止んだ。
「私は今日の事を生涯忘れる事は無いだろう。この賞は人類の繁栄と未来に大きく寄与するであろう事を私は確信している。そしてこの賞を創り出した事は人類の歴史に燦然と輝く一ページになるに違いない。私達は今人類の未来に新たな希望を生み出したのだと思っている」
また拍手が湧き上がった。トリューニヒトも嬉しそうに拍手している。うん、俺も満足だよ。三千万人殺して国家
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