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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十八話 繁栄と未来
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ーリエ陛下はあの一件を一個人の暴走として処理してはならぬと考えておいでです。そのためにも全てを公表せねばならぬと……」
「女帝陛下が」
私が確認するとレムシャイド伯が無言で頷いた。どうやらこの件はアマーリエ陛下の意向が強く反映しているらしい。あの女帝陛下、ただの傀儡ではないな。ブラウンシュバイク公の補佐が有るとはいえなかなかの識見だ。侮る事は出来ない。
「如何ですかな、シトレ元帥。元帥の御考えは?」
レムシャイド伯がじっと視線を当ててきた。
「帝国がそこまで考えているのでしたら反対はしません」
「トリューニヒト議長は如何思われると?」
「さて、……今回の一件、帝国政府は過去の清算をしたいと御考えなのでしょう。ならば議長は反対しないと思いますが」
レムシャイド伯が大きく頷いた。
「御相談されては如何ですか?」
「御口添え、願えようか」
「私で宜しければ。帝国から勲章の授与など初めての事ですがいずれは和平を結ぶのです、となれば今後勲章の授与は有ってもおかしくは無い。今回の一件は栄えある第一号という事になるでしょう」
レムシャイド伯が嬉しそうに笑った。新しい時代の到来だな、確実に世の中は変化しているようだ。
宇宙歴 797年 1月 25日 ハイネセン 同盟議会 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
イゼルローン要塞の反乱は鎮圧され宇宙には平和が戻った。平穏無事、天下泰平、世は並べて事も無し。そう言いたいんだが何処の世界にも空気の読めない阿呆は居る。これも世の常、人の常だ。しかしその阿呆の溜まり場が同盟議会っていうのはどういう事だろう。同盟市民は人を見る目が無いって事だな。俺の目の前ではカマキリ男のバリードが声を張り上げている。キイ、キイ、キイ、虫みたいな鳴き声に聞こえるな。
議員諸兄は皆眠そうだ、起きている奴も迷惑そうな表情で聞いているのが殆ど。嬉しそうに聞いているのはほんの一部だ、少しは空気を読めよ、バリード。
「帝国軍がイゼルローン要塞攻略に使った作戦案は同盟政府が、ヴァレンシュタイン諮問委員長が策定したものだと帝国政府が発表しておりますがこれは事実なのでしょうか? お答えいただきたい」
なに興奮してるんだ? 政府はとっくに認めてるぞ、俺もな。おかげで毎日マスコミが煩いんだ。勘弁して欲しいよ。誰が質問に答えるんだろうと見ているとトリューニヒトが答弁席に向かった。偉いぞ、トリューニヒト議長、褒めてあげよう。昨日、久し振りにトリューニヒト、シトレ、ネグポン、俺の四人でサンドイッチを食べたから俺はとっても御機嫌なのだ。煩いマスコミもあの家には追いかけてこないし。
「事実です、帝国政府の謀略では有りません」
今一つキレが無いな。あまり大きな笑い声は聞こえない。
「という事は双頭鷲武
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