第百八十四話 第6次イゼルローン要塞攻防戦 前哨戦2
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すが、門閥貴族だからこその出世なのではないのですか?」
当たり前の疑問にヤンが答える。
「其処なんですが、キルヒアイス大佐は平民の出身です」
「平民」
「平民が何故、男爵位を?」
「其処ですが、元々キルヒアイス家がミューゼル家の家臣的な存在だったらしく、シェーンバルト少将が小学校時代から有名な暴れ者で同級生の頭を石で殴るなどしており幼年学校時も姉の威光を振りかざして他の生徒を殴る池に突き落とすなどの暴力を働き放校寸前まで行くのを何とか押さえていた様です。陸戦に関してもオフレッサー装甲擲弾兵総監からお墨付きを受けるほどの猛者であり、人格も公明正大で誰からも好かれる好人物だと報告書にあります。
その様な人物ですから、幼年学校次席卒業でもあり優秀さを軍内部に知られ、皇帝も優秀さに近衞としてスカウトしたようですが、グリューネワルト伯爵夫人の横やりでシェーンバルトの副官に付いたようです。その後サイオキシン麻薬密売事件の功績を称えられ、男爵位を叙爵されたようです」
ヤンの答えに、多くの者がシェーンバルトと言うよりはキルヒアイス大佐の方が難物ではないかと感じていた。
「つまりは、シェーンバルト艦隊は実質キルヒアイス大佐が動かしている訳かな?」
「編成表を見る限り、参謀長としてキルヒアイス大佐の名前がありますのでそうだと思われます」
「しかし、帝国とはどうしようも無いですな。寵姫の姉の威光で何をしても許されるとは」
「幼年学校首席卒業も下駄を履かせたのではないかな?」
「なるほど、真の主席はキルヒアイス大佐という訳か」
「あり得ますな」
ヤンを含めた全員がテレーゼとケスラー達がフェザーンに流したラインハルトとキルヒアイスの幼年期からの話を信じてしまった。
「其処でなのですが、今回の敵艦隊の戦法が教科書の焼き直しなのが疑問でしたが、指揮官が誰か判った時点でシェーンバルト少将の教育の過程ではないかと思った次第です。つまりは艦隊運動と陣形展開理論を実戦で試しているのでは無いかと言う訳です」
次々に映し出されるシェーンバルト艦隊の戦法に参謀達ががなる。
「これは、まるで士官学校の教科書じゃないか」
「俺達は実験台か!」
「其処でヤン准将には案があるのかね?」
ホーウッドの質問にヤンが答える。
「はい、敵艦隊の意図が、教育であるなら次回の策が大凡判ってきます」
「それは?」
「恐らく敵は、自艦隊より多数の敵に当たる作戦だと想定されます」
「そうなると、我が軍は両翼を伸ばして包囲殲滅を狙う訳だが」
「はい、恐らく敵は密集隊形により中央突破、背面展開を計るかと」
「益々教科書通りじゃないか、馬鹿にするにも程があるな」
「ならば此方も密集隊形で戦えばいいのでは?」
「いいえ、それですと、
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