第四幕その九
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「そうした人は。ですが」
「大和撫子はいませんか」
「そもそも存在したのかどうか」
「そのこともですね」
「わかりません」
こう先生にお話するのでした。
「この目で見たこともないので」
「そうですか、では大和撫子は」
「はい、しかし」
「それでもですね」
「日本には性格のいい女性が多いので」
「家事も出来て」
「はい、中にはどうかという女性もいますが」
それでもだというのです。
「いい女性も多いので」
「そうした人とですね」
「結婚されてはどうでしょうか」
こう先生にお勧めするのでした。
「決して悪いことはありません」
「いい人と結婚すればですね」
「その通りです」
まさにというのです。
「幸せになれますので」
「僕も何時かはと考えているのですが」
「それでもですか」
「縁がないですから」
「縁は自分で作るものとも言いますので」
「だからですか」
「そちらも努力されるべきです」
是非にというのです。
「私はそう思います」
「左様ですか」
「まあじっくりとお考えになって下さい」
やはりお蕎麦を食べつつ言う加藤さんでした。
「人生で最も重要なことなので」
「最も重要なことの一つですね」
「そうです、それだけに」
「結婚は人生の門出ですね」
「下手をすれば墓場にもなります」
天国と地獄、その差があるというのです。そうしたことをお話しているうちにお二人は三杯目のお蕎麦も食べていました、ですが。
加藤さんは楽しそうな笑顔で、です。こう先生に尋ねました。
「三杯食べましたが」
「はい、それでもですね」
「もう一杯いけますか?」
「いけると思います」
にこりと笑ってです、先生は加藤さんに答えました。
「今のお腹の具合ですと」
「それでは」
「もう一杯ですね」
「はい、食べましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
加藤さんはお店の人にです、こう言いました。
「すいません、もう一杯ずつ貰えますか?」
「あれっ、四杯目ですか」
「はい、いいですか?」
「坊ちゃんは三杯ですよ」
「美味しいので」
「だからですか」
「はい、四杯目をです」
それをだというのです。
「頂けますか」
「わかりました、それじゃあ」
「はい、それではお願いします」
こうしてです、先生と加藤さんは天麩羅そばをもう一杯ずつ頂くのでした。そのお蕎麦があまりに
も美味しいからです。
その四杯目のお蕎麦を食べてです、加藤さんはすっかり満足しているお顔で先生に言いました。
「さて、これで」
「満腹になりましたね」
「それではですね」
「これからは」
「今日は何処に行かれたいですか?」
「そうですね、松山城は」
先生はこのお城の名前を出しまし
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