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雲は遠くて
46章 Love is harmony(ラヴ・イズ・ハーモニー)
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46章 Love is harmony(ラヴ・イズ・ハーモニー)

「とも(友)ちんの彼女って、すごい、かわいい子じゃん!」

「そうですかぁ。まだ、(ゆう)は、15歳で高 1 なんですよ。
おれと 5歳も違っちゃっていて。あっははは」

「初めましてー。木村結愛(ゆうあ)です」

「あ、どうも。おれ、川口信也です。しんちゃんって
気軽に呼んでください。あっはっは」

「初めまして、結愛(ゆうあ)さん。大沢詩織です!」

 7月20日の日曜日、午前11時40分。
下北沢駅南口の改札口付近で、川口信也と水谷友巳(ともみ)たちは
待ち合わせをした。

 駅から歩いて5分のライブハウス EASY(イージー)で、
クラッシュ・ビートや、グレイス・ガールズや、早瀬田大学の
ミュージック・ファン・クラブ(MFC)の部員たちや
松下陽斗(はると)とそのトリオのメンバーたちも集まって、
親睦(しんぼく)のパーティを行うところだった。

 EASY(イージー)は、キャパシティが、着席で60人、
スタンディングで90人で、川口信也が課長をしている
モリカワが経営する店であった。

 川口たち4人が、EASYの店内に入ったころには、
顔馴染(かおなじ)みのみんなが、すでに集まっている。

「そろそろ、みなさん、お(そろ)いになりましたので、
親睦パーティを開催いたします!」

 モリカワの課長で、クラッシュビートの、森川純が挨拶を始めた。

「本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます!
このような親睦パーティを開催しますのも、月並みですが、
みなさんに、楽しいお時間を過ごしていただいて、さらなる英気を
(やしな)っていただきたい、そんな考えからであります。
ええと、閉会は夜の9時を予定しています。
ライブ演奏も遠慮なさらずに、ご気分が乗った方から、
ご自由にやっていただければ、幸いです。
それでは、ごゆっくり、くつろいで、親睦パーティをお過ごしください!」

 拍手と歓声がわきおこる。

 60人近い人数のみんなは、バー・カウンターやテーブルに落ち着くと、
店のスタッフに注文したりしながら、心地よい気分で、昼食を取りはじめる。

「とも(友)ちん、まあ、フラれた彼女と、また仲良くなれて、良かったじゃない」

 そっと、小さな声で、川口信也が、水谷友巳(ともみ)の耳もとに(ささ)く。

「ええ、よかったですよ。新しく作った歌を、結愛(ゆうあ)が気に入ってくれて、
また、仲良くなれたんです」

「ああ、なるほど。おれにも似たような経験が確かあったかな?
恋愛のトラブルって、それがきっかけで、いい詩が作れるんだよね。
あっはっは」


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