43章 短くても美しく燃えること
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
43章 短くても 美しく 燃えること
6月22日の日曜日。朝の10時。
雨がぱらつく曇り空で、気温も23度と涼しい。
下北沢駅南口から歩いて3分の、ライブ・レストラン・ビートでは、
『クラッシュ・ビートとグレイス・ガールズの親睦パーティ』が、
モリカワ・ミュージックの主催で始まっている。
雑誌やテレビなどのメディアの関係者や、早瀬田大学の
学生たちの音楽サークル、ミュージック・ファン・クラブ (MFC)の部員も
全員が招待されていて、会場は華やいだ熱気に包まれていた。
高さ8メートルの吹き抜けのホールの1階と2階の280席は満席だ。
1階フロアの後方の、バー・カウンターにも空席はなかった。
店長の佐野幸夫が、間口が約14メートルのステージの左に立って、
マイクを片手に挨拶を始める。
「みなさま!本日は、お忙しい中を、お越しいただきまして、
ありがとうございます。ライブ・レストラン・ビートの店長の佐野でございます。
日ごろからのみなさまの温かい応援のおかげで、
クラッシュ・ビート(Crash・Beat)とグレイス・ガールズ(Grace・Girls)は、
デヴューして、半年ほどですが、ヒットチャートをにぎわす、活躍を
続けて来れました!これからも、初心を忘れずに、謙虚な姿勢で、
慢心することもなく、果敢に新しい目標にチャレンジしていくと、いっています!
まあ、わたしなんかですと、ちょっと成功すれば、すぐ自慢したり、いい気になって、
遊びほけるんですけどね。クラッシュ・ビートとグレイス・ガールズのみなさんは、
美女とイケメン揃いで、空気も読めて、わたしとは大違いです。あっははは」
そういって、わらいながら頭をかいて、一礼をする佐野に、
会場からは、わらいと拍手と沸き起きる。
「それでは、みなさま、クラッシュ・ビートとグレイス・ガールズのライブや、
そのほかのミュージシャンの方々のライブなどの、たくさんのプログラムを
ごゆっくりと、お楽しみください!」
そういって、まるい目でわらいながら、一礼すると、身長179センチの
佐野はステージの裾へ消えた。
「モリカワミュージックも、すごいじゃん!きょうの、この会場にいるお客さまは、
すべて、無料の招待なんだからね!それだけ、重要な大物のお客ばかりだけど」
そういって、席を立ちあがると、岡昇が、グレイス・ガールズの
メンバー全員と、「乾杯!」と、オレンジジュースの入ったグラスを、
胸の高さまで持ち上げて、回った。
切れ長で細い目だけど、優しい輝きある瞳の、岡は、1994年12月5日生まれで、
ま
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ