40章 As The Same Life (同じ生命として) (2)
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40章 As The Same Life (同じ生命として) (2)
「しんちゃんは、わたしに、詞の作り方について、こんなふうに言ってくれるんです。
心の琴線に触れることを、言葉にするのがベストじゃないかなって」
信也の右隣にいる大沢詩織が、向かいのテーブルの竜太郎にそういって微笑む。
信也の左隣には信也の妹の美結もいて、竜太郎の隣には、
竜太郎と交際中の秋川麻由美もいる。とびきりの美女たちに
囲まれて、竜太郎も心地良い。
「心の琴線なんていえば、漠然として、抽象的ですけど、人間なんて、
生きて生活していれば、身体も疲れたり傷ついたりするように、
心にも、疲労や傷とかができると感じるわけですよ。それらを癒したり、
完治させたりすることが、言葉でできないものかなって、おれは思うんです。
それが、おれの場合、具体的な、詩作の動機なんですよね」と信也は語る。
「なるほど。わかりやすいね。しんちゃん」と竜太郎は、信也の話に感心する。
「お兄ちゃん、そろそろ、クラッシュ・ビートの演奏の時間だわ」
妹の美結が腕時計を見て、信也に囁いた。
「じゃあ、竜さん、ちょっと、ライブをやってきます。1曲目から、
As The Same Life(同じ生命として)をやりますから……」
そういうと、信也は、クラッシュ・ビートのメンバーたちと共に、
ステージに向かった。
大きな拍手の中、信也のテレキャスターの、シャープでありながら、
太い音のリフで、『As The Same Life (同じ生命として)』は始まる。
As The Same Life (同じ生命として) 作詞作曲 川口信也
吹く風も 気持ちいい朝 きみとふたりで 散歩をしたら
街路樹のハナミズキが 青い空に向かって咲いていた
「ハナミズキは 気持ち良さそうね」 ときみは言う
「生き方が上手だね ハナミズキって」 とおれは言う
Oh,生きる 術を 知っているみたいな ハナミズキ
植物や動物より 人が偉いというのは 人がつくった論理
生命として見れば 植物や動物のほうが 優れているかもね
Oh,As The Same Life (同じ生命として)
Oh,As The Same Life (同じ生命として)
「子どものころは 自由に生きていた気がする」 ときみは言う
「オトナになると 勉強や仕事に 追われるからね」 とおれ
それじゃあ どんな生き方をすれば 楽しいのだろう?
やっぱり 子供のころの 自由な感覚 忘れたくないよね
Oh,生きる 術を 知っているみたいな ハナミズキ
植物や動物より 人が
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