暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
40章 As The Same Life (同じ生命として) (1)
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
沢さんから学んだことは、心優しくなければ、いい音楽は作れないって
ことですよね。沢さんの影響で、10年くらい早くオトナになれた気がしています」

「そうなんだ。しんちゃんの活躍には、沢さんの影響があったのか。あっはは」

 わらいながら、そんな会話をして、ビールを()()わしているのは、
エタナールの副社長、新井竜太郎(りゅうたろうと、ロックバンド、
クラッシュ・ビートの川口信也である。

 ロック界で異色の新人として注目の川口信也と、エタナールの副社長の
新井竜太郎の、酒飲み仲間としての交流は、マスコミでも取材されていた。

「しんちゃん、今回の新曲は、痛烈な人間社会への警鐘(けいしょう)というか、
現代文明への批評があるような気がするんだけど。でも、すごく、
ロックとしての反骨精神があって、おれも、とても好きなんだけどね」

「ありがとうございます。社会への批判なんていう、生意気なことを詩にする
つもりはなかったんですけどね。出来上がってみれば、人間への批判みたいに
なっちゃってますかね、竜さん。あっはっは」

「ロックとか芸術っていうものは、社会の既成の枠組みからはずれる、
アウトサイダーなんだから、正統派でいいんじゃないかな。
おれは大衆に()びて、ヒットを狙う作品よりは、しんちゃんの
ロックのほうが好きだけどね。それにしても、作品つくりの秘訣っていうか、
うまい方法って何かあるのかな?」

「そんな方法があれば、おれが知りたいですけどね。あんな詩が書きたいとかの
目標ならありますけどね。今回の『As The Same Life (同じ生命として)』は、
ボブ・ディランのライク・ア・ローリング・ストーン(Like a Rolling Stone)が目標でした」

「そうかぁ。ライク・ア・ローリング・ストーンね、あれはロックの最高の名作だよね」

 ライク・ア・ローリング・ストーンは、ディランの最大のヒット・シングルであり、
60年代のロックを象徴する曲として、ディランの名を神話的レベルにまで高めた。

≪つづく≫ 
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ