38章 信也と美結、いっしょに暮らし始める (2)
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だよきっと。同年代だと、精神年齢は男が断然に下だしね。
まあね、この東京には、美結にふさわしい立派な男がいっぱいいる
はずさ。おれも、美結のためには、なんでもしてあげるから」
「ありがとう、お兄ちゃん。わたしって、背も高いでしょう。それで、
損をしているところもあるんだと思うの」
「美結の背の高さは全然高くないさ。モデルや女優の
仕事やるのには最適だしね。でも美結の身になって考えれば、
平均身長とかは、女性が159センチ、男が171センチくらいで、
どちらも、171の美結より低いんだから、困るときも出てくる
のかなぁ。おれなんか、175で、ちょうどいいって思ってるけど。
でもさぁ、そんなこと、ちっちゃなことじゃん。身長が低くって、
悩んでいる子もいっぱいいるんから。美結は、プロポ-ションは
(体の均整)抜群なんだし。神さまからの贈り物って感じの女性
なんだからさ。いつもの明るくて陽気な美結でいればいいのさ」
「ありがとう。お兄ちゃんのお話で、わたし元気になれたわ!」
美結は、ちょっと目を潤ませたような、やさしい表情で
微笑んで、信也を見つめた。
信也も微笑んだ。そんな二人が、ひのきのローリビング
テーブル(座卓)で向かい合う姿には、兄と妹というよりは、
恋人同士のような、とても仲がよい親密さが漂っている。
「お兄ちゃん、きょうは午後から渋谷のクリエーションの事務所へ行ってくるわ。
わたしのファースト写真集の打ち合わせをするんだって。でも芸能界に入ったばかりで、
ちょっと早すぎないかしら?」
「早すぎるってことはないさ。善は急げ、よいことは機会を逃さず急いでせよって
いうじゃない。美結の写真集かぁ。きっと売れるぞ!もちろんおれも買うけどね」
「やだぁ。お兄ちゃんってば、恥ずかしいわ!わたしの写真を見られるなんて」
……竜太郎さんには、エロ過ぎる写真集だけは、絶対にダメだからといって
あるから、その点は、だいじょうぶ、安心していいだろう、。しかし、芸能活動を
始めたばかりで、もうファースト写真集とは!竜太郎さんもよっぽど、美結に
期待してるし、力を入れたいんだな……
「ははは。まあ、美結、がんばろう。竜太郎さんに任せておけば、
安心していいからね。おれも、きょうは一日、家で、歌作りをするんだ。
夢を追いかけて、楽しくやっていこうね、美結。人生って、一瞬一瞬の
積み重ねだから。いつも毎日というか、今という時が大切な気がするんだよ」
「うん。そうだね、お兄ちゃん」
信也と美結は、恋人同士のように、見つめ合って、微笑んだ。
≪つづく≫ --- 38章 おわり
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